なぜ高校1年の開心那はパリ五輪女子スケボーの東京に続く銀メダルに「東京よりうれしい」と発言したのか?
豪州の五輪史上で最年少金メダリストになったトルーの偉業を、同国メディアはこぞって速報した。『news.com.au』は驚きを込めてこう伝えた。 「オージーのティーンエイジャーが最終滑走でモンスタースコアを叩き出し、豪州の歴史を変えた。女子スケートボードで日本勢が金メダルを初めて逃した瞬間を、ユーロスポーツのコメンテーターは『あれは絶対におかしい。クレイジーだ』と苦笑いを浮かべながら、トルーの完璧なトリックを称えていた」 『The Sydney Morning Herald』は、美しいエアを次々と成功させたトルーを「地球の重力に逆らっていた」と驚きを込めて報じるとともに、表彰式後に14歳が語ったコメントを次のように伝えている。 「いまはとても興奮しているし、一度にたくさんの感情がこみあげてきています。最後のランの前に、コーチからは『すべてを出し尽くせ』とだけ言われていました。まさにオール・オア・ナッシング、という心境でした」 オール・オア・ナッシング――つまり「すべてか、まったくの無のどちらか」という表現がぴったりの覚悟と決意でトルーも、そして開も最後のランに臨んだ。豪州発の報道には、開が最後に見せた強さへの敬意も込められている。 東京五輪の金メダリストで、連覇を目指した今大会では予選10位で決勝に残れなかった四十住さくら(22、第一生命保険)はこんな言葉を残した。 「最後まであきらめたくないけど、でも人の失敗は祈りたくない」 自己ベストの滑りを介して勝ち取るものに、スケートボード競技の意義がある。決勝のランで果敢に攻め続けるもすべて失敗し、8位だった草木ひなの(16、スターツ)も演技後には晴れやかな笑顔を浮かべて初の五輪を振り返っていた。 だからこそ、演技を終えれば全員が健闘を称え合う。金メダリストのトルーと、銀メダリストの開が笑顔で抱き合うシーンも見られた。その光景は日本が男女で頂点に立ったストリート種目を含めて、観ている側の心を打つものがある。 日本の五輪史上で最年少となる、12歳と342日で東京五輪女子パークの銀メダルを獲得したのが2021年8月4日。アスリートである以上は、頂点に立てなかった悔しさはある。それを笑顔で包み込み、トルーと紙一重だった最後の滑りを「東京よりもうれしい」と振り返った姿に、開が遂げてきた成長の跡が凝縮されている。
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