「第二回Cinema at Sea 沖縄環太平洋国際映画祭」2月22日~3月2日開催 メインビジュアル&「牡丹社事件」を題材にしたオープニング作品発表
第二回Cinema at Sea 沖縄環太平洋国際映画祭が、2025年2月22日~3月2日に沖縄県・那覇市を中心にを開催される。このほど、メインビジュアルとオープニング作品が発表された。公式アンバサダーを俳優の尚玄が務める。 【フォトギャラリー】第一回「Cinema at Sea 沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル」オープニングセレモニーの模様 本映画祭は「Cinema at Sea」をコンセプトに、優れた映画の発掘と発信を通じて、各国の文化や民族、個々人の相互理解を深めること、地元ビジネスを支援すること、そして地元の才能あるアーティストの作品を広く発信することを目指し、最終的には、沖縄が環太平洋地域における新たな国際文化交流の拠点となることを目指すもの。 プログラムの拡大と開催期間の延長により、第二回Cinema at Sea - 沖縄環太平洋国際映画祭は、環太平洋地域における映画芸術を称えるだけでなく、異文化間のつながりを促進するための主要なプラットフォームとしての地位をさらに確立していく。 今回のメインビジュアルは、人と自然との境界を立ち位置に活動する画家の山田祐基氏が制作。本年度の映画祭のテーマである「Boarder/less」にあわせて制作されたメインビジュアルの作品名は「あわい/あはひ【間】」だ。 本年度のオープニング作品は、台湾出身のション・フー(胡皓翔)監督による1870年代に起きた「牡丹社事件」を題材にしたドキュメンタリー映画「青海原の先ー牡丹と琉球の悲歌」(Ocean Elergy :The Tragedies of Mudan and Ryukyu)に決定した。 たった一つの遭難船事故がどのように東アジア地域の政治地図を再形成したのか? を問う本作は、貴重なアーカイブ資料や専門家と遺族によるインタビュー、再現ドラマ映像を用いて、沖縄と台湾の歴史的な繋がりを掘り下げた力作であり、地域文化と記憶をテーマに、琉球王国と台湾の先住民族との運命や対立に焦点を当て、海を越えて人々が繋がる物語を繊細かつ力強く描き出した作品だ。 1871年、琉球から清国(現在の中国)へ向かっていた船が暴風雨に遭遇し、南台湾に漂着。この船には琉球人54名が乗船しており、彼らはパイワン族が住む地域に到達した。しかし、パイワン族の一部がこれらの琉球人を殺害するという事件が発生し、この事件は後に「牡丹社事件」として知られるようになる。 この事件は単なる地域的な紛争に留まらず、日本の台湾侵攻(1874年の台湾出兵)を正当化する口実として利用され、さらに、この事件をきっかけに清国がパイワン族と交渉を行い、日本が琉球を併合する流れに繋がるなど、東アジアの地政学に大きな影響を与えた。今年は牡丹社事件の150周年にあたり、5月に屏東県牡丹郷では150年記念行事が行われた典が開催され、宮古島市も代表者を派遣し祭典に参加。その後、11月に牡丹郷からも宮古島を訪問し、交流協定覚書を締結するなど、沖縄と台湾側双方がこの悲劇を乗り越えるため、和解の歩みを続けている。 台湾出身のション監督が七年間かけて製作し、日本と台湾の学者や専門家、さらに宮古島と牡丹郷における牡丹社事件の遺族の協力によって完成した本作品が、第二回の映画祭の開幕式にてワールドプレミア(世界初上映)を飾る。 なお、大きな反響を集めた第一回目の映画祭終了後の活動の一環として、東京、大阪、沖縄・八重山、そして台湾東部で、昨年度のコンペティション受賞作品を中心とした巡回映画祭を実施。<Cinema at Sea - 巡回映画祭 in 沖縄・八重山>が12月13日(金)~15日(日)にわたり西表と石垣会場で行われる。第二回Cinema at Sea概要とともに、映画祭公式サイト(https://www.cinema-at-sea.com/)で詳細を告知している。 ■第二回Cinema at Sea - 沖縄環太平洋国際映画祭 概要 【正式名称】 第二回Cinema at Sea - 沖縄環太平洋国際映画祭 (2nd Cinema at Sea - Okinawa Pan-Pacific International Film Festival) 【主 催】 特定非営利活動法人Cinema at Sea 【開催期間】 2025年2月22日(土)~3月2日(日) 【開催会場】 那覇市ぶんかテンブス館テンブスホール、桜坂劇場、沖縄県立博物館・美術館等、那覇市内を中心とした会場 【実施内容】 コンペティション作品上映、特集上映、トークイベント、沖縄環太平洋映画インダストリー他 【公式サイト】https://www.cinema-at-sea.com/ ▼山田祐基氏 コメント 海をつなぐ潮の道を通して、ものや思い、血の交歓を得たのも人間であり、そこに国境や海域といったBorderを作ったのもまた人間です。 そのBorderを溶かすこと(Borderless)ができるのも人間だと信じたい。 自身の立ち位置でもあり、制作の軸でもある「あわい/あはひ【間】」をテーマに、向かい合うもののあいだ、また、二つのものの関係を白黒させすぎず、その混じり合った状態を楽しむ様子を表現しました。 「分ける」ために必要だったBorderを「あわい」に進化させていく時代。 Borderなど初めからなかったかのように自由に行き来する動植物たち、子供たちに学ぶことがたくさんあると日々感じます。 ▼青海原の先ー牡丹と琉球の悲歌」監督 ション・フー(胡皓翔)コメント 2018年から始まった創作の旅の中で、私は何度も漢民族、先住民、そして琉球の友人たちと向き合いました。彼らの眼差しには真摯な思いが宿っており、繰り返しこう念を押されました。「監督、どうかこの歴史を多くの人に伝えてください!」そのため、このドキュメンタリーがCinema at Sea - 沖縄環太平洋国際映画祭のオープニング作品として上映されると聞いたとき、心の底から感動しました。この映画祭こそ、この歴史を世界に伝えるのに最もふさわしい舞台だと感じています。 この歴史は、過去100年近くにわたる琉球と台湾の運命に深い影響を与えましたが、政権の変遷によって歴史教科書には十分に記録されることがありませんでした。そのため、多くの人々がこの土地の物語を断片的にしか知らないのが現状です。もしご自身の過去に興味をお持ちであれば、ぜひこのドキュメンタリーをご覧ください。時間に埋もれた足跡をともに探る旅へとご案内します。 ▼公式アンバサダー・尚玄氏コメント このたび「第二回 Cinema at Sea - 沖縄環太平洋国際映画祭」を開催できることを大変嬉しく思います。昨年11月に開催された第一回目は予想以上の反響をいただき、まだまだ改善すべき点が多々あるとはいえ、やはり沖縄は国際交流の場に相応しい場所であると再確認しました。 私たちの目指すところはこの映画祭を継続し、地域に根付かせていくことです。県内外だけでなく、海外の映画を愛する方々も足を運びたくなるような魅力的な映画祭にしていけるよう、これからも尽力して参ります。ぜひみなさん気軽に遊びに来てください!
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