ウソだろ!?「ありゃ、詐欺だ」人助けして騙される!?「うますぎる話は疑え」は世界共通!?【作者に聞く】
「おーい、そこの君!」見知らぬ車が急に止まり、運転席の男から声をかけられた。車をのぞき込むと、助手席には奥さんらしき人、後部座席には子どもが乗っていた。男は「急にごめんね。ちょっと頼みがあるんだ」と話しかけてきた。実はこの家族は“ガソリン代詐欺”の常習者で、子ども連れということで相手を安心させ、そのあと巧妙に“おいしい話”をチラつかせて騙していく手口だったのだが、そのときの主人公は知る由もない…。この漫画を描いたのは、現在カルフォルニア州のロサンゼルスに在住しているkasutera(@kasutera5)さん。このあとkasuteraさんは事件に巻き込まれていく。 【漫画】本編を読む/とても困っているという男の頼みごととは…? 対応に困っているところに、kasuteraさんがアメリカで仲良くしている友人2人がやってきた。友人いわく「ありゃ、ああいう詐欺だ」と言う。「うますぎる話はまず疑えよ」と冷静に忠告する友人だったが、もう1人の友人は詐欺師相手にめちゃくちゃ怒りまくってケンカを始めていた。実は彼がここまで怒るのにもワケがあって…!! 子ども連れの家族ぐるみでの詐欺は、さすがに日本ではなかなか遭遇しないがアメリカでは起こりうることらしい。この漫画の作者・kasuteraさんは、現在アメリカでアクターとして活躍中。英語と日本語両方の声優の仕事もこなしているkasuteraさんに、当エピソードについてや、そのほかの詐欺についても話を聞いてみた。 ――アメリカでは子ども連れファミリーでの詐欺も、よくあることなのでしょうか? 必ずしも家族連れというわけではありません。私はこの手の詐欺に計2回遭遇したのですが、1回目は男2人、2回目は子連れの夫婦でした。しかし手口はまったく一緒で、“旅行中でガソリンがなくなりそう、でもカードが不具合で使えない、だからこのジュエリーを現金で買ってくれ”というストーリーでした。もう本当に何から何まで一緒で、2回目は聞きながら笑いそうになりましたよ(笑)。「本当は○ドルなんだけど安く売るよ!」って強調するところまで一緒でしたから。そういうフォーマットがあるんでしょうね。 ――ほかにもびっくりする詐欺の手口やエピソードはありますか? 私がほかに遭遇したものでは、“偽チェック詐欺”というものがあります。ある日ATMを使おうとすると、手に“チェック(小切手)”を持った知らない男に声をかけられました。彼の頼みごとはこうです。現金が入用なので、仕事先から給料としてもらったチェックを現金化したい(アメリカではATMを使って口座にチェックを入金することができます。彼のここで言うチェックの現金化とは、そうした後に振り込んだ分を現金として引き出すことです)。しかし最近、携帯電話代の自動引き落としが支払えなかったために彼の銀行口座は凍結されており、アクセスできない状況である。「そこでなんだけど、君にこのチェックを渡すから、君自身の口座に入金してから、僕にその分のお金をくれないか?」というのです。つまり私の口座を使ってチェックの現金化をしたいと頼んでるんですね。 ――もしかして、引き受けたんですか…? はい。私は、困っているならと引き受けて、渡されたチェックをATMに振り込みました。渡されたチェックに記載されていた額は900ドルだったので、自分の口座残高が900ドル分増えているか確認します。残高照会をすると、ちゃんと増えてました!そこで、900ドルを現金で引き出して、彼に手渡しました。彼は800ドルだけ受け取り、100ドルはお礼だといって去っていきました。 ――あれれ…?ここまでは何の問題もないように思えますが…? そうなんです。これだけみると「人助けができたうえに100ドル儲かってラッキー!」という流れなのですが、このあとに問題が起こります。数日後、私の口座の残高が900ドル減っていることに気づきます。詳細をみると、どうやらATMで振り込んだ例の男のチェックが銀行に偽物と判断されて無効にされたようです。 ――えええ!ではあの日、一旦増えたように見えた残高は、実際にはまだ「仮」の状態だったということですか? その通りです。ここがこの詐欺のポイントで、チェックは振り込まれてから数日間は”保留扱い”になり、チェックの真偽が明らかになるまで時間差があるのです。しかし保留中でも残高にはチェック分が加算された金額で表示されます。私もその場で残高を確認した際、増えているのを見てチェックが本物だと安心してしまいました。結局それは彼がでっち上げた偽物、私は800ドルをだまし取られていたのです。 ――100ドル儲かった!と喜んでいたのに…まさかの展開じゃないですか! はい。しばらく悶えました(笑)。みなさんも、海外で知らない人のチェックを振り込むのは絶対ダメですよ! 日本でもさまざまな新手の詐欺が横行している。今回のkasuteraさんの話はアメリカでの詐欺あるあるだが、「うまい話には裏がある」ということは世界共通のようなので覚えておこう。今回紹介したエピソード以外にも、アメリカで実際に出くわした仰天エピソードを漫画化した「アメリカあるある」が満載!kasuteraさんにSNSでの漫画の更新頻度について尋ねると「現在は月に1~3本のペースです」とのこと。日本と異なる規格外のエピソードや、意外と世界共通なのね…とクスッと笑えるエピソードなど盛りだくさんなのでぜひチェックしてみて! 取材協力:kasutera(@kasutera5)