保護主義は貧富の格差広げる恐れ-WTO、グローバル化を強く擁護
(ブルームバーグ): 世界貿易機関(WTO)は9日、関税などの国際貿易の障壁に抵抗するよう各国政府に促すとともに、貧富の格差是正という30年にわたる進展を保護主義が台無しにする恐れがあると主張した。
ジュネーブに本部を置くWTOは最新の報告書で、グローバル化を強く擁護。トランプ前米大統領が11月の大統領選で勝利すれば、米国の輸入品すべてに関税をかけると表明するなど、低関税とルール執行というグローバル化の柱への攻撃が強まっている。
オコンジョイウェアラWTO事務局長はこうした動きについて、企業にとって不安定で不確実な「競争」を引き起こすと警告。報告書の序文で、「貿易制限は一般的に社会で特定のグループのために雇用を守る高くつく方法だ」と指摘し、「生産コストを押し上げ、不満を抱く貿易相手国から犠牲の大きい報復を招く」可能性があると論じた。
報告書によれば、世界の1人当たり所得(インフレ調整後)は1995-2023年に約65%増え、最貧困層に分類される人々の割合は40.3%から10.6%に低下した。それでも、22年には世界で7億1200万人が極度の貧困状態にあったという。
原題:WTO Warns Nations That Protectionism May Widen Rich-Poor Gap(抜粋)
--取材協力:Zoe Schneeweiss.
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Brendan Murray