板垣李光人が2023年に俳優として得たもの 高橋文哉との関係性、芝居への思いを語る
『どうする家康』に始まり『フェルマーの料理』で終わった2023年
――リアルサウンドでも「作ってみた」という企画で、実際にレシピを作ってみた記事を掲載して大反響でした。一方で、家庭で「作ってみた」に挑戦するにはなかなか難しい料理が終盤は多くなっていました。 板垣:使う材料も、馴染みのないものが増えていきますからね。最初は見たことがあるものばかりだったのに、「どこで売ってんの、これ?」みたいな材料が出てきて(笑)。本当に難しくなっていますよね。 ――板垣さんはNHK大河ドラマ『どうする家康』で井伊直政役も演じていました。同時期にまったく違った姿を観ることができたのも、ファンにとってはうれしい機会になったと思います。複数の作品をまたがって演じることの難しさとか、楽しさみたいなものはありましたか? 板垣:以前の大河ドラマ、『青天を衝け』に出演させていただいたときにも、並行して作品を撮っていたことがあります。でも大河ドラマのような歴史ものと、現代が舞台の作品となると、そこまでの難しさはありません。結構振り切れるので、調整はしやすいと思います。僕は役をプライベートに引きずらない方ですけど、2つのドラマの脚本を読みながら、どういうふうに役を作っていくかを並行して考えるのは、難しさもある反面、楽しみの一つでもあります。だから今回のように、『フェルマーの料理』と『どうする家康』のような、振り切った2つの役をやるというのも、それはそれで楽しさに繋がっているかもしれません。 ――では、改めて2023年の振り返りと、2024年に挑戦してみたいことを教えてください。 板垣: 2023年は、年始から『どうする家康』がスタートしたことが、一つ大きな出来事でした。芝居以外では、ファッション・ウィークでパリとニューヨークに行かせていただきました。僕はファッションが生きがいでもあります。だから今回ファッションの聖地にお邪魔したことで、自分の好きなものに触れた以上のものを得ることができたように思っています。この先、僕が人生を重ねていく上で、少しだけ先が見えたような気もしたし、すごく大きな経験になりました。そして、2023年の締めくくりが『フェルマーの料理』だというのは、本当に良かったと思っています。2022年はいろいろなことをやらせて頂きましたが、今年になったら「まだこんなにやっていないことがあったんだ、こんなにできることがあったんだ」と思うことができました。それが来年もその先もずっと続いていったらいいなと思います。芝居はライフワークとしてやっているので、来年もいろんな表現方法を模索していきたいですね。 (取材・文=Nana Numoto)