『おむすび』安室奈美恵と歩んだギャル人生 「TRY ME」が歩の“高校デビュー”を後押しする
『おむすび』(NHK総合)第24話では、聖人(北村有起哉)がギャルを嫌うきっかけになった歩(仲里依紗)のエピソードが描かれた。 【写真】金髪ギャルに豹変した歩(高松咲希) 糸島フェスティバルの打ち上げで盛り上がる一同。そのさなか、ギャルとの交流がばれた結(橋本環奈)は聖人に呼び出される。聖人の頭をよぎったのは歩の高校時代だ。ここで場面は平成7年7月に切り替わる。 糸島に移って半年、神戸の復興はまだ始まったばかり。仮設で商売を再開した仲間の話を聞いて、聖人は神戸で床屋を続ける考えを明かすが、永吉(松平健)に反対されてしまう。 結果として、聖人たち一家は糸島で暮らすことになったが、移ってきた当初、聖人は神戸に戻る意思があった。それを阻んだのは家族の反対で、幼い結(磯村アメリ)と親友を亡くした歩のことを考えて、糸島にとどまった。聖人としては半ば押し切られた形であり、床屋を諦めたのは本意ではなかった。 震災で受けた心の傷は、糸島の海と自然によって徐々に癒されていった。結は同学年の陽太(案津喜一)と知り合いになり、周囲に心を開くことで笑顔を取り戻した。しかし、歩の場合は違った。自室でギャル雑誌を手に取り、安室奈美恵 with SUPER MONKEY'Sの「TRY ME ~私を信じて~」をイヤホンで聞く中学3年の歩(高松咲希)。中学校に行っていなかったが、それでも地元の県立高を受ける決心をする。 俗に言う“高校デビュー”に向けて歩はギャル雑誌を熟読し、安室奈美恵の歌を聞いてギャルマインドを磨いていたのだろうか? 髪を染めてルーズソックスを履いた歩は家族を仰天させ、入学早々、教師から指導を受ける。それでも頑なに自分のスタイルを貫く歩。家庭内は紛糾し、歩自身も警察に補導される。天神のゲーセンで同年代の女性とトラブルになり、怪我をさせたのだった。 回想シーンは2004年の結と聖人の会話に結びつくと思われるが、歩が突然ギャルになったことに聖人は戸惑い、歩が米田家に持ち込む問題に苦労したことがうかがわれる。歩の原点となる過去エピソードで、歩にとってギャルが何を意味していたかが描かれるのだろう。これがハギャレン結成にも結びつくわけで興味は尽きない。 ところで、歩のギャル人生は安室奈美恵とともに始まったと言える。安室奈美恵 with SUPER MONKEY'S名義のシングル「PARADISE TRAIN」を歩は真紀(大島美優)と一緒に聴いていた。歩の部屋には「Body Feels EXIT」のポスターが貼られているが、同曲は1995年(平成7年)10月のリリース。結の高校入学は平成8年4月で、当時の直近のシングル曲は「Don’t wanna cry」である。飛ぶ鳥を落とす勢いだった絶頂期の安室に、歩もきっと背中を押されたはずだ。
石河コウヘイ