【特集】首里城再建へ地域と心ひとつに宮大工の思い
沖縄テレビ
今月3日に行われた首里城復興祭。祭りを大いに盛り上げたのが首里地域の青年たちが集い旗頭を演舞する伝統の「ガーエー」です。 首里城がある当蔵町の旗頭には再建工事に携わる宮大工が参加しました。首里の伝統を通してつながった宮大工と青年たちの絆「歴史を受け継ぐ」という共通の思いを抱き演舞に挑みました。 秋の風物詩として親しまれる琉球王朝祭り首里。本番を数日後に控えたこの日、「ガーエー」の練習のため、首里当蔵町の公民館に青年会のメンバーが集まってきました。 ▽儀間謙信さん: 「本当に素晴らしい取り組みだと思いますし、先輩方、当蔵町青年会の若い皆さんが伝統を守るべくすごい様々な活動をされているので、とても感慨深く思いながらいろいろ学ばさせてもらっている」 こう話すのは5年前に火災で焼失した首里城の再建工事に携わる那覇市出身の宮大工・儀間謙信さんです。去年から当蔵町青年会の旗頭に参加しています。 ▽儀間謙信さん: 「僕も首里城に工事で携わっているので、首里城のお膝元の地域ということで、いろんな面で縁があることをさせてもらっている」 儀間さんのほかにも首里城で働く3人の宮大工が練習に加わっています。 当蔵町青年会を率いるのは、今年から会長を務めている仲村一起さん。儀間さんたちを迎え入れたのは首里城再建への強い思いに引き寄せられたからだと振り返ります。 ▽当蔵町青年会 仲村一起会長: 「首里城の復興に向けていろんな宮大工の方々、県内外問わずいろんな方がいるという話の中で、縁があって旗頭に興味がある宮大工がいるということでぜひ一緒にやりたいということで当蔵のほうにお誘いをしました」 仲村さんは、儀間さんたち宮大工も伝統の旗頭に思いを寄せていることを頼もしく感じていると話します。 ▽当蔵町青年会 仲村一起会長: 「首里城の仕事で休憩時間に旗頭のことを考えながら自主練をしていると。日常茶飯事、どうやったら上手く持てるかなと考えている中で、そこで意気投合してこうしたらこうだよねとかいろいろ話している中ですごく仲良くなっている」 練習の合間にも旗頭を持つフォームを確認している儀間さん。 ▽儀間謙信さん: 「僕らまだ下手くそなんでちょっとでも。まだまだ、バランスが取れないのでまだまだです。イメトレとかはしています。こういう形で簡単には持てない。大工も一緒で、簡単にはできない。道具を使うのも」 首里城の再建を支える宮大工と城下町の伝統を受け継ぐ青年が思いを共有しながら、ともに旗頭で祭りを盛り上げたいと手を携えています。 ▽当蔵町青年会 仲村一起会長: 「自分たちも首里城に対して特別な気持ちがあるので復興に向けて、第一線で頑張っている方々と一緒に伝統というところでつながれるというのはすごくいいなと思う。自分たちの旗頭も同じ気持ちで持ってくれているというのはすごく嬉しい」 ▽儀間謙信さん: 「一員として、首里城に携わるだけではなく、首里城を支える皆さんと一緒の気持ちになってやらせていただきたい」 迎えた首里城復興祭。沿道から多くの人々が見守る中、旗頭の演舞が始まりました。 当蔵町の旗頭みせる当蔵町の旗に掲げられているのは「中山第一」。琉球王国時代の王都として栄えた当蔵町の心意気を表現しています。 首里中学校のグラウンドには各地の旗頭が一堂に会し、祭りのフィナーレを飾るガーエーがいよいよ行われます。 旗頭には燈籠が灯され、首里の夜空には各町の象徴が浮かび上がります。 ▽当蔵町青年会 仲村一起会長: 「感謝の気持ちでいっぱいですね。いろんな地域の方々の協力と、年齢関係なく子どもからおじいちゃんおばあちゃんまでいろんな方が当蔵の旗頭、青年会を応援してくれて練習はしっかりしてきたので、いつも通りゆっくり落ち着いてしっかりやればかっこよく持てるという話をしながら、しっかり当蔵の旗を守ろうということをずっと言っていました」 演舞を終えた儀間さん。無事にやり終えた満足感とともに地域の人々とのつながりを実感していました。 ▽儀間謙信さん: 「最高の一言だけですね。支えてくださっている地域の人々とか、そういった方々と同じ気持ちを共有してとても感慨深い思い。沖縄の宮大工と呼ばれている仕事に還元できる一人としてとても光栄に思いながらやっています」 地元の人々の温かさや首里城に寄せる特別な気持ちを共有した儀間さんたち。首里城再建を願う人々の思いに応えようと、宮大工としての決意を新たにしました。
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