「圧巻のバラード」が話題の世界的ダンサー菅原小春 ドラマ『パリピ孔明』に「ダンス封印」で挑むワケ
世界的なダンサーとして知られる菅原小春が、ドラマ『パリピ孔明』(フジテレビ系)に降臨。11月8日にはダンスを封印してバラードを熱唱し、視聴者の心を鷲掴みして離さない。 【写真あり】上白石萌歌『ペンディングトレイン』最終回ロケで見せた「癒される赤ちゃん抱っこ」姿 今作は現代の渋谷に、中国「三国志」時代の天才軍師・諸葛孔明(向井理)が転生。歌手を目指す一人の少女・英子(上白石萌歌)を成功へと導く音楽青春コメディだ。 「アーティストの“ミア西表”役を演じる菅原は、第1話でいきなり4人のダンサーを従え、キレキレのダンス・パフォーマンスを披露。視聴者にダンサーとしての存在感を十分に見せつけました。 ライブを観客と共に目の前で観ていた上白石萌歌は『太陽のようなエネルギーを持ってらっしゃる方です』『お会いするたびに元気をくださいます』『お芝居も踊りもやはり本当に素敵で、菅原さんにしか演じられないミアだなと思っています』と終始圧倒されていた様子。もし菅原小春がいなかったら、今作はこれほど話題にならなかったでしょうね」(ワイドショー関係者) 菅原は高校を卒業後にロサンゼルスに渡米。独自のダンススタイルを確立すると、SMAPや安室奈美恵、少女時代、三浦大知やMISHAなど国内外のアーティストと関わり、振り付けやバックダンサーとして活躍した。 『NHK紅白歌合戦』では’16年坂本冬美、’18年米津玄師と圧巻のコラボパフォーマンスを披露して、多くの視聴者を釘付けにしたことは、記憶に新しいところだ。 そんな菅原が満を持して、民放の連続ドラマに初登場。大きなインパクトを与えている。 菅原が演じる“ミア西表”は、歌いたかったバラードナンバーを歌わせてもらえず、音楽活動に嫌気が差していたところ。軍師・孔明はそんなミアの心を見抜き、英子の代わりに音楽特番にミアを送り込む。 赤いキャップを取ったミアの姿に、スタジオは騒然。しかし、ダンスを封印し、エッジの効いたハスキーボイスで、英子が作った『DREAMER』を熱唱するミアを止める者は誰もいない。この歌が類稀なる名曲であることをミュージックシーンに知らしめ、ミア自身も“三大レーベル”のひとつに数えられる「V-EX」と契約に至るというストーリーだ。 こうした展開にも違和感を覚えなかったのは、すべてミアを演じる菅原の圧巻のパフォーマンスのなせる技。ネット民からも 《鳥肌が立った》 《めっちゃかっこよくて震えた》 《ミアの歌声に泣いた》 といった声が殺到している。 しかし“ダンスを封印”して、菅原小春が視聴者の心を鷲掴みしたのは今回が初めてではない。 「菅原がドラマに登場したのは、’19年に放送された大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック咄~』(NHK)が初めてのこと。今作で菅原は日本人で初めてオリンピックに出場して銀メダルを獲得した人見絹枝役を演じました。 自身の体格にコンプレックスを抱きながら、抜群の身体能力を持て余している人見の佇まいは、野生の獣そのもの。その一方で『化け物』と揶揄され、悔しさや恥ずかしさに耐えかね目を伏せる繊細な演技にも注目が集まりました」(制作会社プロデューサー) そんな彼女の見せ場がアムステルダム・オリンピックでやってくる。メダルが期待された100メートル走で落選。選手控え室で1人落ち込む人見は、一度も走ったことのない800メートル走に出場したいと懇願。反対するコーチや男子選手たちに、 「男は負けても帰れるでしょう。でも女は帰れません。負けたらやっぱり女はだめだ。男の真似して走っても役に立たないと笑われます。日本の、女子選手全員の希望が、夢が、私のせいで絶たれてしまう」 そう涙ながらに訴えかけるシーンは、試写会場でもすすり泣く報道関係者が続出していた。 さらにもうひとつ。“ダンスを封印”して視聴者の心を掴んだのが、‘21年の朝ドラ『おかえりモネ』(NHK)。菅原が演じたのは、車椅子マラソンの選手・鮫島祐希役である。 「汗がほとばしる背中に浮き上がる筋肉はまさにアスリートそのもの。自主練を兼ねて、NHKから家まで車椅子で帰ったエピソードの持ち主でもあります。忘れられないシーンは、オリンピック出場がかかった選考会で魅せた鬼気迫る演技。 鋭く光る眼差しは、ダンスを踊る時の菅原小春そのもの。菅原は以前、演技について『スキルやテクニック、すべて剥でいったら魂だけになるようなところは、ダンスと同じだな』と、語っていたことを思い出しました」(制作会社ディレクター) 大河ドラマ『いだてん』、朝ドラ『おかえりモネ』に続いて、三度“ダンスを封印”して臨んだ菅原。いよいよ最終回が近付きつつある『パリピ孔明』で、あの名場面を超えるミア西表のパフォーマンスをもう一度見てみたいと願うのは、贅沢だろうか……。 文:島 右近(放送作家・映像プロデューサー) バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓。電子書籍『異聞 徒然草』シリーズも出版中
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