日本代表MF堂安律「点は取りやすい」“超攻撃的ウィングバック”に名乗り…ドイツ王者レバークーゼンからヒント
日本代表は9日、広島市内でシリア戦に向けて大部分を非公開で調整した。2次予選ラストマッチは、1、2月のアジア杯・準々決勝で敗れたイラン、1次リーグで敗れたイラクと同じ中東勢・シリアとの対戦。すでに進出を決めている最終予選を前に、中東勢への苦手意識を払拭すべく、MF堂安律は“超攻撃的ウィングバック”に名乗りを上げた。 堂安は「今年の最初、アジア杯で悔しい経験もした。そういう意味で、シリアはすごくいい相手になる。僕らが一つ、解決策を出さなければいけない」と語った。強固な守備や、速く鋭い攻撃、そして高さ。中東勢が共通して持つ特徴を踏まえ、アジア杯で主に採用した4バックの布陣ではなく、ミャンマー戦(6日)で試した3バック(3―6―1)の新オプションで、どう上回るかイメージを膨らませた。 ゴール前を固める守備が予想されるシリアに対し、こじ開けるイメージはすでにできている。ミャンマー戦では2シャドーで出場した堂安だが、今季所属先のフライブルクではウィングバック(WB)でもプレー。サイドに位置するWBはゴールから遠く、得点に絡むことは難しいはずだが「WBの方が点は取りやすい」と言い切った。 その理由について、堂安は答えは明確だった。「(相手DFの)ブラインドから入っていけるし、シャドー(2列目)の選手が相手SBの前を走ることによって、絶対に相手は付いていくんで、大外(WB)が空いてくる」。今季ブンデスリーガを無敗で制したレバークーゼンは、両WGのグリマルド(10点)、フリンポン(9点)が大外の空いたスペースをつき、得点を重ねた。堂安もそのイメージに自らを重ね合わせた。 守備時は最終ラインに入って5バックの一角を形成し、攻撃時はサイドに大きく張ってクロスなどでチャンスを演出する、というかつてのWBのイメージとは違う。「今までの古い5バックの考え方だと、WBはシャドーが空けたその(最前線の)スペースにはいないですよね。ザッケローニ監督がやっていた3―4―3では、(両WBの)内田(篤人)さん、長友さんは、後ろをコントロールしていて、そこには入っていかなかったと思う」。時代により移り変わるポジションの役割に適応し、攻撃的な持ち味をWBでも発揮する自信をのぞかせた。 自信の理由は、今季フライブルクで積み重ねたプレーがあるからだ。リーグ戦で奪った7ゴール中、5点はクロスに合わせ、うち3点はヘディング。「ヘディング、できるようになったんで」と笑うように、相手DFからは見えにくい大外からゴール前に飛び込み、ゴールを奪う感覚は研ぎ澄まされている。ミャンマー戦でも左WBのMF中村敬斗が先制ゴールを奪った。人材の多いアタッカー陣でWBでもプレーできる選手が増えれば、攻撃陣の厚みはぐっと増す。まずはシリア戦、堂安が“超攻撃的WB”としての手応えをつかめば、最終予選に向けた大きなオプションになるはずだ。
報知新聞社