《災害時に備えたい暮らしのヒント》通帳、カード、保険証、印鑑、家の権利証、なくなって困るものは? なくしたらどうすればいい?
「災害に備えて貴重品は手元に置いておけ」という防災ルールがある。しかし、貴重品がいつもそばにあるとは限らず、今月起きた能登半島地震をはじめ、災害時には貴重品より避難行動が優先される。では、通帳やカードといった貴重品を災害で紛失した場合の救済策はあるのか、災害復興法学の創設者であり、弁護士の岡本正先生が解説する。 【画像】紛失したら困る貴重品とは
通帳・カードがなくても預貯金は引き出せる
能登半島地震発生から2週間経った。広範囲で甚大な被害が報告されているが、通帳やカード、保険証といった、貴重品を持ち出せず避難行動された人も多いだろう。こうした貴重品を紛失した場合の支援や対策はどうなっているのだろうか? ●通帳・カード 「能登半島地震において、災害救助法が適用されていますので、金融庁や財務局から『災害等に対する金融上の措置』が発表されています。これによれば、通帳の紛失に関しては、本人であることが確認できる書類の提示により預金の払い戻しができる、また本人確認書類がなくても、氏名や住所などの登録されている情報と一致すれば預金を引き出すことができるなど記述されています。」(岡本先生、以下同) 通帳やカードがなく、運転免許証などの本人確認書類がなくても、窓口で本人確認の上、預貯金を引き出せるということだ。 「ただし、このような対応について、金融機関が全契約者に直接知らせてくれるとは限りません。自ら問い合わせするか、弁護士会などの無料法律相談を利用するなどしてください。今回の災害の場合、通帳やカードは無料で発行してくれることがほとんどです。紛失したから権利がなくなるということではありません。」 令和6年能登半島地震にかかる災害等に対する金融上の措置について(新潟県)/関東財務局 https://lfb.mof.go.jp/kantou/kinyuu/pagekthp031000102.html 北陸財務局 令和6年能登半島地震にかかる災害等に対する金融上の措置について(石川県)(PDF形式:76.7KB) https://lfb.mof.go.jp/hokuriku/content/013/2024010201.pdf 令和6年能登半島地震にかかる災害等に対する金融上の措置について(富山県)(PDF形式:75.5KB) https://lfb.mof.go.jp/hokuriku/content/013/2024010202.pdf 令和6年能登半島地震にかかる災害等に対する金融上の措置について(福井県)(PDF形式:75.8KB) https://lfb.mof.go.jp/hokuriku/content/013/2024010203.pdf ●健康保険証 大災害では、健康保険証が手元になくなってしまう人も多い。健康保険証がなくて、治療を受けた場合は10割負担になってしまうのだろうか? 「大災害時は、医療機関や福祉施設などで健康保険証の提示ができなくても、氏名、住所、生年月日を告げることで、健康保険証を提示したときと同様に自己負担分だけ支払って、医療や福祉サービスを受けることができます。ですから健康保険証がないという理由で、本来受けるべき治療を控えることがないようにしてください。」 保険証がなくても医療機関等を受診できます/厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06756.html