中日の救世主になれる? ファームで2冠の「育成右腕」が秘密兵器に
目標とするスタイルは柳裕也
中日に育成ドラフト3位で入団。体力作りからスタートした金の卵は、2年目の春季キャンプで一軍メンバーに抜擢される。バランスの良い投球フォーム、しなやかな腕の振りから力強い球を投げ込む姿が立浪和義監督の目に留まった。 肉体強化と共に実戦登板を重ねることで、着実に成長している。昨年は16試合登板で5勝4敗、防御率4.56。ウエスタン・リーグ優秀選手賞を受賞し、台湾ウインター・リーグに参加した際は自己最速となる151キロを計測した。 松木平は複雑な家庭環境で育った。インドネシア人の父親と日本人の母親の間に生まれたが、2歳のときに両親が離婚。インドネシア人の父親との記憶はあまりなく、母親は小学2年生のときに亡くなった。姉と共に祖父母に育てられたが、祖父も他界。育ててくれた祖母に恩返ししたいという強い気持ちを持ち、一軍の舞台で活躍を目指している。 力強い直球、精度の高い変化球、抜群の制球力と総合力で勝負するスタイルは柳裕也と重なる。1月の自主トレでは柳に志願参加して背中を追いかけている。「(目標とする投手は)柳さんです。プロに入る前は大谷さん(大谷翔平、エンゼルス)、同じ育成出身の千賀さん(千賀滉大、ソフトバンク)でしたが、こんなに良いお手本が身近にいるということで、今は柳さんです」と目を輝かせている。 育成で同期入団の左腕・上田洸太朗は22年5月に一足早く支配下昇格している。 「育成から一緒に這(は)い上がろうと言っていましたが、いざ先を越されてしまうと……悔しいですね。同期の高橋も活躍していますし、今に見とけよと思っています」 内に秘めた闘志は熱い。一軍のマウンドで光り輝く日はそう遠くないだろう。 写真=BBM
週刊ベースボール