政令市・静岡、人口70万人割れても政令市であり続けられるか?
18~22歳の流出が際立っている
人口ビジョンによると、静岡市は国や県よりも20年も早く人口減少に転じているという。静岡市の人口はなぜ、早々に減少をはじめたのか? その原因は市もわからないというが、出生者数から死亡者数を引いた自然増減が激しい右肩下がりとなっており、政令市となった2005年からマイナスに転じている。 一方、転入者数から転出者数を引いた社会増減は、一貫してマイナスであるものの1970年代半ばは6000人近くの転出超過だったのが、以降、緩やかな右肩上がりに転じている。市は社会増の傾向をさらに拡大していきたい考えで、東京・有楽町のNPO「ふるさと回帰支援センター」内に市としては全国で唯一、ブースを設置して首都圏からの移住相談にも応じるなど移住促進策を積極的に進めている。 一方、流出人口は、18歳から22歳までの若者が際立っており、そのほとんどが大学進学等を契機に首都圏に転出するケース。そのため、首都圏に転出することなく静岡市に居住して首都圏の学校に通ってもらおうと、新幹線の定期代をサポートする制度を昨年度からスタートさせている。大学、短大、専門学校の学生を対象に月額3万円を上限に新幹線定期代の3分の1を市が貸与するというもので、昨年度は170人が利用、その8割が東京など首都圏の学校に通っているという。 学校を卒業後、地元に就職して静岡市に居住し、新幹線定期代のサポートを受けた期間の2倍の期間、住民税を納付すれば、市が貸与した代金の返済が免除されるという。流出が激しい若者にピンポイントを絞った直接的な施策だが、どの程度の効果をもたらすかは今のところ未知数。今年度からは、試しに静岡市に住んでもらうお試し住宅制度や、移住、定住の相談を受けるコンシェルジュも設置、「2025年の総人口70万人維持」を掲げて、様々な対策を繰り出している。 人口減少問題は少なからぬ自治体にとって頭の痛い問題。70万人を切った静岡市の政令市指定について高市早苗総務大臣は、指定取り消しはないことを明らかにしているが、今後、静岡市に限らず政令市指定を受けた自治体の人口が減り続けた場合、それでもなお政令市であり続けことは可能なのだろうか? 総務省に尋ねたが、「仮定の話しには答えられない」との回答であった。