制限緩和の鳥取J3ガイナーレは練習再開…延長された緊急事態宣言対応の地域格差がJリーグに及ぼす影響とは?
新型コロナウイルスに対応する緊急事態宣言が全国を対象に今月末まで延長され、ほとんどのJクラブが活動休止状態を継続させていくなかで、J3のガイナーレ鳥取が新たな道を歩みはじめた。 先月11日から活動を休止させてきたトップチームの練習を新型コロナウイルスへの感染リスクを回避する対策を徹底的に講じた上で、7日から段階的に再開させていくことを決めた。 公式ホームページ上で6日に発表された方針のなかで、ガイナーレは「現在の鳥取県内における新型コロナウイルス感染拡大状況及び、鳥取県より新たに発令された指針を踏まえ――」と理由を説明している。 鳥取県内の累計感染者数は6日現在で3人。そのうち1人はすでに退院していて、先月18日を最後に新たな感染者が確認されていない。また、密集や密接を避ける対策を施すことを条件とした上で、県立集客施設の利用や屋内外におけるイベント開催に対して設けられていた制限を、7日から緩和することが5日に開かれた鳥取県の新型コロナウイルス感染症対策本部会議で決まっていた。 緊急事態宣言の延長決定前に決まっていた、臨時休校が続いていた県内の小中高校の授業も予定通り7日から再開させることも同会議で確認された。いずれも緊急事態宣言の延長を決めた政府が同時に示していた、13の特定警戒都道府県を除いた34県で社会経済活動を維持していく基本的な対処方針に沿った決定で、ガイナーレの段階的な活動再開も言うまでもなくその一環となる。 今シーズンにおいては、39の都道府県にJ1からJ3まで56のクラブが存在する。そのうち政府から指定されている北海道、茨城、東京、神奈川、埼玉、千葉、石川、愛知、岐阜、京都、大阪、兵庫、福岡の特定警戒都道府県に約45%にあたる25のJクラブが集中している。
厚生労働省から発表されている、退院者を除いた6日現在の感染者数は1万1876人。そのうち特定警戒都道府県における感染者数は1万393人で、実に87.1%を占めている。13の特定警戒都道府県とそれ以外の34県とで、感染者数と社会経済活動の自粛に対して大きな地域格差がある。 そして、後者のなかで鳥取県が社会経済活動の自粛から維持へと方針を変え、鳥取、米子、倉吉、境港の各市を中心とする全県をホームタウンとするガイナーレも倣った。この動きが特定警戒都道府県以外の自治体をホームタウンとする、他のJクラブにも広がっていく可能性がある。 先月7日に7都府県で緊急事態宣言が発令され、同16日からは全都道府県へと拡大されてきたなかで、全体練習をフリーでの自主トレに変更したJ3のヴァンラーレ八戸といわてグルージャ盛岡を除いた54クラブが活動を休止。選手たちは自宅待機を強いられる状況が続いている。 6日現在の感染者数はヴァンラーレが存在する青森県が11人で、グルージャの岩手県は累計を含めて全国で唯一、ゼロが続いている。そして、Jクラブがホームタウンを置き、なおかつ感染者数が20人以下の県が鳥取以外に秋田(3人)、山形(15人)、岡山(13人)、山口(13人)、徳島(1人)、香川(17人)、愛媛(13人)、長崎(6人)、鹿児島(6人)と9を数えている。 今後の状況の推移や自治体の方針によっても異なってくるが、感染者数が抑えられている現状を受けて、ガイナーレに倣うクラブが続けばどのような状況が生まれるのだろうか。ネガティブな考え方としては、クラブ間で選手たちのコンディションにバラつきが出てくることだろう。