新型アコードって「ああ、やっぱりこういうクルマがいいよなぁ」と思わせてくれる
昭和なオヤジの戯言として聞いていただきたいが、ホンダ・アコードのセダンというと、今でもリトラクタブルライト付きの3代目の、あのスタイリッシュさとホイールベース2600mmのあの実に心地よかった乗り味が忘れられない。 【詳しく画像を見る】11代目の魅力とは? 正直に言えば、個人的にそれ以外の歴代セダンで気持ちにササったクルマはほとんど思い浮かばない。 ところが先ごろ登場した11代目のセダンに試乗して「おっ?!」と思わせられた。とにかく気分よくゆったりと走らせていられるクルマだったからだ。
決して速いとかスポーティだとか、そういう文脈ではなく、筆者で言うと「次に書く原稿の書き出しはどうしようか」などと考えながら平常心で走らせていられること。 神経を逆撫でしないクルマだったからだ。 昨今の日本の交通事情というとなかなかシュールで、時として想像の範囲を超えた動き、マナーの他車に出くわす。 そうした時でも新型アコードであれば、自分を忘れずに穏やかにやり過ごすことができ、ひいては身の安全も確保できる。 新型アコードのコンセプトは“相棒”だそうだが、試乗してクルマからえもいわれぬ信頼感を実感、なるほどそういうことかと思った。 そういえばファストバックのスタイルも、一見すると先代のリメイクか? と思うが、よくよく眺めてみると先代までよりも遥かにディテールがスッキリしていてノイズレスだし、面質そのものもなめらかなものになった。 インテリアも質感は十分に高く、水平基調のインパネも落ち着いた雰囲気だ。 ここ最近、試乗で乗るクルマというと大多数がSUVだが、それらより低い着座姿勢の新型アコードのようなセダンに乗ると、「ああ、やっぱりこういうクルマがいいよなぁ」と思う自分の気持ちを再認識した。
<文/島﨑七生人>