生活保護増減マップ 研究者らがネットで公開
研究者と福祉事務所のケースワーカーでつくる任意団体「生活保護情報グループ」は17日、自治体ごとに過去10年間の生活保護率の増減が一目で分かる「保護率増減マップ」をインターネット上に公開した。地域ごとに生活保護制度が継続して機能しているかを可視化するのが狙いだという。 同団体は47都道府県と20政令市に対して、情報公開請求を実施。2012~21年度の監査資料を基に、約1000市区の被保護実人員を人口で割った保護率をネット上の地図にデータ化した。 サイトの地図では、保護率の増減によって自治体の色を分けている。10年で保護率が増えていれば緑、減っていれば赤を表示。また、自治体をクリックすると、年度ごとの保護率をグラフで見ることができる。 調査は、群馬県桐生市が生活保護受給世帯に保護費を全額支給しないなど複数の不適切な対応を繰り返していた問題がきっかけ。同市では、12年度に9・65‰だった保護率が、21年度には5・68‰と急減していた。 保護率は好景気時には全国的に下がる傾向があり、減少自体に問題があるわけではない。しかし、周辺の自治体と比べて極端に低い場合などは、組織的に保護の申請をさせないなど不適切な対応をしている可能性があるという。 グループのメンバーである立命館大の桜井啓太准教授は「保護率が高いことは制度がきちんと機能しているという一面もある。保護率が低ければよいという価値観自体を転換させることができれば」と話している。