唯一無二のスカイレール、26年目で惜しくも廃止
住宅地の計画人口を考えると営業的には当初からぎりぎりだったと思うが、一番の「敗因」は、街のつくりとスカイレールの機能がマッチングしてなかったことが大きかったと思う。地図で確認すればよく分かるが、山の斜面に一戸建て住宅が一様に広がっているのに対して、設置された駅は中間駅と終点駅の二つだけ。たまたま家が駅前なら便利だが、離れた区画だと700~800メートルもある。しかも傾斜地だから、駅までの行き帰りはどちらかが上り坂となる。結局マイカーが便利ということになってしまう。 新しいシステムのすぐれた能力を生かせる街のつくりではなかったことがとても残念だ。ある程度の人口(利用者)集中地区同士を結ぶ利用であれば、活躍の余地は十分あると思う。スカイレールの次なる登場の機会を期待したい。 この日はすでに代替交通となる「みどり坂タウンバス」の運行が始まっていた。地元のバス会社が新規に導入した最新の中型電気バスが住宅地を一巡して瀬野駅と往復する。運賃は200円と若干高くはなったが、バス停は16カ所。小学校やショッピングセンター前にも停車する。「近くにバス停ができて便利になった」と思う住民は多いだろう。
そして、スカイレールは4月30日に無事営業を終了した。 ☆共同通信・篠原啓一 鉄道ファンなら山陽線の瀬野と聞けば、隣の八本松との間の山間を縫う急勾配区間「セノハチ」を思い起こすだろう。今回は帰途、電車で通過することになったが、斜面をすいすい登るスカイレールの姿が目に焼き付いて、セノハチの印象は薄らいでしまった。