一時「1ドル155円」に迫るも、トランプ氏勝利による〈円安〉は終了の兆し…過去2年連続で米金利“下落”の年末相場、今年はどうなる?【国際金融アナリストが考察】
今週の注目点=米ドル買いポジションの損益確定売りの拡大は?
では、仮に米ドル/円の反発が先週で終了したとして、逆に下落に向かう可能性について考えてみましょう。ちなみに、過去2年は、11月中旬頃から年末に向けて米ドル/円は比較的大きく下落するところとなりましたが、この2024年はどうなるのでしょうか。 過去2年連続で米ドル/円が年末に向けて下落が拡大したのは、短期売買を行う投機筋が年末にかけて米ドル買い・円売りポジションの損益確定の動きを本格化させた影響が大きかったと考えられます。 CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、5日現在で売り越し(米ドル買い越し)が4.4万枚に拡大しました(図表5参照)。 これは過去2年の同じ頃に比べると必ずしも大きなものではありません。ただ、2024年は夏に米ドル/円が暴落したことから、投機筋は利益を増やしにくかったと考えられます。その意味では、過去2年以上に損益の確定には過敏になる可能性はあります。そのような米ドル買い・円売りポジションの手仕舞いが、米ドル安・円高をもたらす可能性も注目されそうです。 すでに述べたように、先週で米ドル/円の反発が終了したと考えると、今週の米ドル/円の予想レンジ上限は155円とします。一方で下限は、先週の安値の151.2円を割れるようなら、米ドル買いポジションの手仕舞い売りが拡大する可能性から150円としたいと思います。 以上から、今週の米ドル/円の予想レンジは150~155円で想定します。 吉田 恒 マネックス証券 チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長 ※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。
吉田 恒
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