富士山麓で迎える年明け──静岡・富士宮市の村山浅間神社
富士山麓にある村山浅間神社(静岡県富士宮市)で、大晦日の深夜恒例のみそぎ神事が行われた。ふんどし姿や白装束の若者たちが、境内にある水垢離場で流れ落ちる水に打たれて心身を清め、新年を迎えた。 歴史的不漁のサクラエビ 駿河湾に何が起きているのか?
富士山世界文化遺産の構成資産になっている村山浅間神社。明治初期までは富士山興法寺と呼ばれ、富士修験道の拠点として栄えた。境内には神社本殿のほか、大日堂や護摩壇、水垢離場があり、毎年7月の富士山開山日には山伏による護摩焚きの神事が行われる。 かつては、ここからから富士山頂に至る村山口登山道があり、参詣者は水垢離場で身心を清めて富士山に登ったという。大晦日深夜のみそぎ神事は、こうした歴史を受けたものだ。
ふんどし姿の若者や白装束の女性ら約70人が、声を出して船をこぐ動作をする「鳥船行事」で体を温める。2~4人ずつ一組になって順番に水垢離場に入り、「ハラエドノオオカミ、ハラエドノオオカミ」と唱えながら流れ落ちる水を体に浴びて、心身を清める。参拝に訪れた大勢の人たちがその様子を見守っている。「がんばれ」と声援が飛んだり、拍手がわく。 みそぎをするのは3回目という富士宮市の高校1年生、細小路拓斗さんは「地域の行事に参加できて楽しい。高校生になったので2019年はいろいろと経験を積む年にしていきたい」と話していた。
村山浅間神社には深夜から未明にかけて多くの参拝者たちが訪れ、神社本殿では結袈裟(ゆいげさ)をまとった宮司によるお祓い、神社本殿に隣接する大日堂では山伏による加持祈祷がそれぞれ行われ、お祓いや加持祈祷を受ける順番待ちの列ができていた。 「信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産となり6年目の富士山。今年は、環境保全や巡礼路の明確化など世界遺産委員会から求められていた課題について、世界遺産委員会で審査される予定だ。 (文・写真 フリーライター・三好達也)