日鉄株が一時下落、USスチール買収にトランプ氏あらためて反対
(ブルームバーグ): 日本製鉄株は3日の取引で、同社によるUSスチール買収を阻止するとのトランプ次期米大統領のソーシャルメディアでの投稿を受けて上昇幅を急速に縮小し、一時下落に転じたあとで再びプラス圏に戻るなど荒い値動きとなった。
トランプ氏は、自身のSNSである「トゥルース・ソーシャル」に「かつて偉大で強力だったUSスチールが外国企業、この場合は日本製鉄に買収されることに全面的に反対だ」と投稿。大統領に就任すれば日本製鉄によるUSスチール買収を阻止すると表明した。その上で、税制優遇措置と関税を組み合わせることで、「USスチールを再び強く偉大なものにする 」とコメントした。
同社の株価はトランプ氏の発言を受け、一時前日比1.2%安の3022円まで売られ、その後プラス圏で推移する。
トランプ氏の投稿を受け、日鉄はUSスチール買収は同社を「成長させるとともに、米国産業界、並びに米国国内のサプライチェーンの強靭化、そして、米国の国家安全保障を強化するものと考えている」などとする声明を公表した。USスチールの拠点に投資を行う予定であることや雇用を守ることを改めて強調した。
日鉄はUSスチールの買収は米国経済や雇用に有益だと訴えてきたが、全米鉄鋼労働組合(USW)の反発は根強く、大統領選期間中には政治問題化していた。日鉄の森高弘副社長は、米選挙が終わったことで、買収に向けた手続きがスムーズに進むとの見方を示していたが、トランプ氏があらためて反対を表明したことで再び先行きが不透明となった。
--取材協力:岩井春翔、稲島剛史.
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Natsuko Katsuki