名古屋のカフェで「平和がいいねぇ~」展 ── 常連客らの絵画など展示し話題に
愛知県名古屋市中区のオーガニックカフェギャラリー「空色曲玉(そらいろまがたま)」で、常連客らが描いた絵画などを展示する「平和がいいねぇ~」展が話題となっている。店主の谷陽子さんが「平和について、思うことを言い合えるきっかけになれば」と発案し、店の客らに声をかけたのが開催のきっかけ。日本を代表する絵本作家から常連客のこどもまで20人以上のアーティスらが賛同し、絵画だけでなく陶芸、木彫りなど、それぞれの「平和」が表現された展示作品を見に多くの客が訪れている。期間は2月7日まで。
アート作品として「平和」を表現
「戦後70年の節目…? いえそんな大それたものじゃなく、ただ私は戦争が絶対にイヤなだけです」と店主の谷さん。近年、政治の動きがひどく気になっている。「いろんな人たちに、アート作品として平和を表現してもらおうと思いました。見る人に、言葉じゃない部分で伝わるはずだから」 「誰か、絵を描いて出してよ」と昨年10月ごろから谷さんは、来店客に声をかけた。常連客の一人である同市在住の加賀貴巳子さんは、同店の料理を描いた。もともと加賀さんは好きなお店を訪ねては、出された料理を食べる前にスケッチするのが恒例で、「いつも描いておられるのが興味深くて」と谷さんが直接オーダーした。 「一番興味があるし、大事なことだと思っているので」と、ニコニコ顔の加賀さん。おいしいものを食べられる平和、好きなものを守れる平和。そんな平和があり続けてほしいと自然に思えてくるあたたかい作品にはファンが多く、作品は展示開始後、真っ先に売れたという。
日本を代表する絵本作家も参加
出店作家の一人、田島征三さんは、泥絵の具を使った力強くおおらかな画風で人気の日本を代表する絵本作家。数十年も前、谷さんの子どもと一緒に参加した絵本の会でファンになり、手紙を書いたのが最初の縁だ。「お忙しい方なので無茶を承知でお願いしましたが『いいですよ。で、サイズは?』とすぐにお返事をくださって。皆さん平和のために自分ができることで何かしたい、と思っておられるのね」と谷さんは振り返る。 花を持った少女が戦車の前進を阻むイラストは、東京都で活躍するイラストレーター小池アミイゴさんの作品。かわいらしくも強烈なメッセージ性を持った心に響く一枚だ。名古屋市守山区の仏像彫刻家、真野明日人さんは「平和の種」を持って笑う少年の木彫り作品を展示。元々の作品は銃を持たされて泣いている少年の像だったが、銃を削り落とし表情も笑顔に作り替え、平和を願う希望を託した。 そんな作品の中で、常連客の北村結ちゃん(5)が描いた絵も存在感を放つ。「こどもだって平和が何かってことは、ちゃんと分かるんですから」と谷さん。絵の中のクレヨンの二人の男女は、地球を真ん中にがっちり握手をして笑い合っている。