野田クリスタルが断言「筋トレはお笑い」、天才芸人が挑むマッチョとエンタメの融合
筋肉芸人としても知られる、マヂカルラブリー・野田クリスタルが“ただ筋トレをして飯を食うだけ”の番組として2023年末に放送しネットをざわつかせた「なぜ君は筋トレをしていないのか?」(BSテレ東)の第2弾が8月5日(月)、12日(月・休)、19日(月)、26日(月)の各日深夜0時から放送される。今回は「除脂肪」をテーマとして、またあらたに野田クリスタルがトレーニングと食事を自ら実践。本記事では第2弾放送を前に、野田クリスタルに同番組についての思いを聞くと、独自の筋肉とお笑いの相関関係が見えてきた。 【写真】野田クリスタルの本気、わかる人には伝わる“ガチ”さ ■“ただ筋トレをして飯を食うだけ”の番組の大反響を受けるも…「やり残し」があった ――年末に放送された第1弾の反響はいかがでしたか。 野田クリスタル:相澤飛鳥さんや山本俊樹さんなど、いろいろなジャンルの有名な人とお会いできた回でした。普段はメディアにたくさん出演される方ではないので、本当のマッチョ好きというか、本当にコアな人のみぞ知る方々。そういう意味で、刺さる人には本当にぶっ刺さるキャスティングだったんじゃないかと。 ――8カ月ほどが経って第2弾というお話が来たとき、どう思われましたか? 野田クリスタル:正直に言うと、第1弾はとても良くできたという感想ではあるものの、結構やり残したことや 「こうしたかったな」というところがめちゃめちゃ多かったんですよ。 そのため第2弾は「とにかくやりきろう」と。そういうつもりで挑んだので、第2弾の収録内容は第1弾の10倍濃いですね。 ――番組の内容や企画に関しても、野田さんはご意見を出されたりするのでしょうか? 野田クリスタル:そうですね。スタッフがみんなストイックなので、僕の意見や要望にすごく真摯に対応してくださいます。出演交渉にしても、説得力ある方にコンタクトを取っていただきました。 ――具体的に、第1弾で「やり残したところ」とはどんなところだったのでしたか。 野田クリスタル:ずばり言うと、オールアウト。今回は除脂肪…脂肪を燃やすというテーマではあったんですけども、これは表向きのテーマ。裏のテーマを「オールアウト」としています…。 とにかく体を出し切って、トレーニングでやりきって「もうこれ以上何も上がりません」という状態になることをオールアウトと呼んでいます。第1弾でも「オールアウトしよう」というつもりで臨んでいたのですが、実のところ第1弾ではオールアウトできませんでした。時間の関係もあり、追い込み切れなかった。 そのため第2弾は「絶対オールアウトさせてくれ」と交渉して、収録始まったのですが…多分テレビでここまで追い込んだ人、いないんじゃないかな…。多分歴代1位なのではないかなと。引くぐらい追い込んでますよ。 たとえばバズーカ岡田さんのスクワット(8月5日[月]放送)、腕の日でポパイ関根さん(8月12日[月・休]放送)、そしてマシンピラティス(8月19日[月]放送)…。これら1つひとつの種目すべてで、限界まで追い込みました。普通のロケだったら「ちょっとやってみましょう」で終わったり、「無理無理無理無理!」と余力を残した感じで次へ進むことも多いと思います。でも今回はちゃんと終わったあとに“立ち上がれなくなる”ほどの強度で3セット、3種目やり切りました。 ■トレーニングは「自分のさじ加減」、だからこそやり切った時の達成感が魅力 ――ピラティスでオールアウトまで追い込むというのは、あまり想像がつきません。 野田クリスタル:ピラティスはやばかった…。ピラティスに関しては40分間ノンストップでやったんですけども、“つらくない時間”がないんですよ。絶対どこかがつらい状態。それをもう40分間やり続けたので、もう滝汗で大変でした(笑)。 ――オールアウトは、運動や筋トレをしてない人にとっては「つらいこと」に思われがちです。野田さん的には、どのような魅力があると思いますか? 野田クリスタル:やりきれているか、というのは自分のさじ加減です。僕だって1人でやってるときに「最後まで追い込めているか」は永遠にわからないというか…。結局のところ自己満足なのですよ、オールアウトは。 でも全部を出し切ったときというのは、溜まっていたおしっこが全部出たとかそういうレベルの“浮遊感”が味わえます。達成感というよりは「ああ、終わった!全部出し切った!1週間働いて明日休みだ」みたいな、“幸せを味わえる瞬間”が待っているんです。 ――山登りなどに似ているのでしょうか。 野田クリスタル:ハイにはなっていると思うので、近いかもしれませんね。でもオールアウトは登山と比べて、ものすごく短い時間で味わえますよ。 ■野田クリスタルが体現している「マッチョのエンタメ化」 ――野田さんはマッチョ芸人としても知られていますが、「マッチョのエンタメ化」をされていると思います。筋トレは「自分が頑張って自分のためにやるもの」というこれまでの認識を変えようという意識が感じられるのですが、なにか意識されていますか。 野田クリスタル:鍛えてる人はストイックな人が多く、トレーニング以外のことに見向きもしない…という人も多いんです。でも“だからこそ”マッチョでいられるワケですけどね。 僕はネタを作る側の人間だし、企画を考えるのが好きな人間でした。ほかのマッチョと違っているように見えたとしたら、これまでは「筋トレは楽しいぞ!」と発信したい人があんまりいなかっただけ…という話だと思います。 マッチョ界にたまたまそういう人がいなかったので、あとはアイデアだけ。機体はそろっているのにパイロットがいない…という状態を見て僕が「パイロットを作ろうじゃないか!」と言い出しただけなんです。 ――野田さんがYouTubeで「マッチョ芸人を集めてキングオブコント獲ったら面白い」とおっしゃっていたのが印象的です。ちなみに本気度はどれくらいですか? 野田クリスタル:リアルな話を言うと、「マヂカルラブリー」として出場すると他のユニットで出場することできなくなるというジレンマがあります。 どっちを取るかっていうと…さすがに一旦マヂカルラブリーで…(笑)。2回決勝まで進んで優勝できなかったので、そこのリベンジは1回果たしたいなと。 ――リベンジを果たした暁には…? 野田クリスタル:その次はマッチョたちで出て、キングオブコントに挑戦する可能性…もしくはM-1に挑戦する可能性はありますね。 ――健康志向の世の中で筋トレをする人が増えています。筋トレをしている側の方からしてみると、これほど筋トレが注目されているのはなぜだと思いますか? 野田クリスタル:昔から言っていることがあります。別にお笑いに限らず、仕事で頑張って成果が出るものというのは少ないと思うんですよ。そんななか、トレーニングは嘘をつかない。やればやるほど筋肉がつく。これほどわかりやすい成果が出て、しかも充実感がある。 ただとにかく世の中が難しくなっているんだな、と思います。世の中が難しいから単純なものに魅力を感じるようになるのではないでしょうか。 筋トレを終え、しっかり食べて1日を終えると充実感というか、1日の終わりに「本当にいい1日を過ごしたな」と思えます。そうした積み重ねが、筋トレの魅力として広まっているのでは。 ■野田クリスタルが断言、「筋トレはお笑い」 ――野田さんは他の人が思いつかないような企画を考えるなど、お笑いもトレーニングもストイックにやっていらっしゃいますよね。一見すると全く違うことのように見えますが、共通点などはあるのでしょうか? 野田クリスタル:お笑いもこうした筋トレ企画も、使っている脳みそが完全に同じなんですよ。だから「お笑い芸人って全部やっているんだな」と思うことがあります。テレビだけ見ているとひな壇とか演者としての芸人としか見られないかもしれませんが、実は舞台で企画考えて1本のライブ作ったり、ネタを作ったり、舞台のキャスティングも自分でやったりします。 ときにはグッズも自分たちで考える…など、実は全部を担当しています。 別に僕が特別な人間ということではなくて、他の芸人も同じなんですよ。芸人は全員がクリエイティブだし、いろいろなことを思いつく。そのなかで、たまたま僕が“ゲームと筋トレ”に脳みそを使っただけ。実は芸人全員、同じ才能があると思ってます。 たとえばトレーニングとお笑い、どっちの方が真剣なのかというと、どちらも真剣です。でも、そもそも筋トレだって俺のなかではお笑いの1つなんですよ。 ――「筋トレはお笑い」、すごく面白いと思います。もう少し噛み砕くと、どのようなことなのでしょうか。 野田クリスタル:コントにしても、バラエティーで使うにしても、みんなそれぞれ“武器”を持ってきます。モノマネがわかりやすいと思うのですが、あれは練習してクオリティを高めますよね。それって、筋トレと同じだと思うんです。舞台上で役に立つトレーニングですね。 舞台に立つためにモノマネのトレーニングをしているだけ、ボイストレーニングをしているだけ。 筋力のトレーニングも別のものだと思っていませんし、それが仕事になっているのであれば勝ちだよね、と。 ■熱量を測られる世の中だからこそ、筋肉が説得力につながる ――今回の第2弾。改めて、野田さんから見どころのコメントをいただけますか? 野田クリスタル:テーマが除脂肪ということで、 “脂肪を取る”という誰もがやりたい、気になっていることをまず取り上げています。もちろん筋トレに興味がない人、最近ちょっと脂肪が気になるという程度の人も、見ていただくきっかけになればいいなと。 そして、「野田クリスタル、ゴールデンとか出てるときよりもこんなに汗かくんだ」という“BSテレ東で密かにどの番組よりも汗をかいてる”事実を知ってほしいです。「こんなに汗かくんだ」ってびっくりすると思うので、「マジだ」「この番組は嘘じゃねえ」というところを見てもらいたいです! ――最後に、野田さんが筋トレをし始めて、いまも続けている理由をお聞かせください。 野田クリスタル:元々はバスケのダンク(シュート)をするためにトレーニングを始めたら、いつの間にかマッチョになっていました。そのうち他のマッチョに負けないよう上半身も鍛えて、ちゃんと見た目もマッチョになるようにしました。 でもいまはどちらかというと…精神が安定して、生きている感じがして、説得力をつけられるというのが理由でしょうか(笑)。特にマッチョが集まるイベントに来たとき、自分がにわかだったらすぐバレると思います。 やっぱりトレーニングを重ねている人は、マジでトレーニングしてる人を尊敬するもの。それは筋肉量とかパワーを度外視で、“トレーニングを続けていること”を尊敬するんです。 とくにいまは熱量を測られる世の中になってきました。やはり上っ面で知識だけあって、昨日今日ちょっと調べてやってきた程度じゃ通用しない。そういう意味で、僕は“説得力を出すため”にやっていると言えますね。