過去のバブルで「当時の億り人たち」がたどってきた末路
17世紀のオランダで発生した「チューリップ・バブル」。その後も人類は同様の事態に何度も遭遇してきた(写真:**縁** -enn-/PIXTA)
J・K・ガルブレイスが『A short history of financial euphoria(邦題:バブルの物語)』を著わしたのは30年ほど前である。 euphoriaの適切な訳語が難しいので、英語のわかる人にはそのままの語で伝えることが多いが、無理に訳せば「脳みそバラ色状態」とでもするのがよいだろうか。多幸感とか陶酔感といった訳語を使う人もいる。幸せな気分が高揚して、幼児にもわかる単純な事実にすら注意を払わない心理状態である。 さて、この書の表題の「金融ユーフォリア」を、日本語版で「バブル」と表現したのは、文脈から見て適切なものといえる。ただし、上述のとおり日本語にない概念であるからやむをえないが、原語のニュアンスの「薬物に酔いしれたような幸せな陶酔感」という意味が感じられないのが難といえる。ガルブレイスは、この心理を「現実からの集団逃避」とも言っている。
本文:3,122文字
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蟹分 解