茨城県「2割減を期待」 選定療養費 搬送緊急性、指針案示す 県議会保健福祉医療委
緊急性のない救急搬送患者から「選定療養費」を徴収する茨城県主導の取り組みを巡り、県は11日、県議会の保健福祉医療委員会(水柿一俊委員長)で、緊急性の有無の目安となる指針案を報告した。搬送件数について前年同月比で「2割程度の減少が期待できる」との展望を示した。運用開始は12月2日予定だが、委員からは拙速との指摘が相次いだ。 指針案では、緊急性について、軽度の切り傷や擦り傷は「明らかに認められない」と記述。また風邪症状、微熱(37.4度以下)、打撲などの計10症状を挙げ、単独の症状だった場合は「基本的に認められない」とした。評価が難しい場合は、緊急性を認めても問題ないとした。 県内の昨年1年間の救急搬送件数は過去最多の約14万3千件。うち6割以上が大病院に集中し、約半数は軽症患者が占め、緊急性が低いケースもあるという。 選定療養費は、一般病床数が200床以上の大病院を紹介状なしで受診した場合にかかる追加費用。今回の取り組みは、県内大病院の約9割の22病院が参加する。徴収額は病院によって異なり1100~1万3200円。7700円が18病院で最も多い。 取り組みは今月27日配布の県広報紙11月号やネット媒体などで県民への周知を図る。緊急性の判断につながる救急電話相談は12月2日以降、日曜や祝日、年末年始の時間帯により回線数を大幅に拡大するという。 委員からは「(県が)一人歩きしている」「前に進めるべきではない」など、議論や周知期間の不足を指摘する声が多く挙がった。水柿委員長は「周知、意見への対応を十分に図ってほしい」と強く訴えた。
茨城新聞社