エミー賞「真田広之」にライバル心を燃やす「交流40年」の大物俳優とは
中井と真田の馴れ初め
《ふたりを結びつけたスターたちの“友だちの輪”は、テレビドラマ『ふぞろいの林檎たち』(TBS系・’83年)の共演者が中心となってできた。/なんとなくみんなで食事したり、飲みに行ったりするようになったのが『ふぞろいの――パートII』終了後のこと。/当時の中心メンバーは、中井貴一、時任三郎、手塚理美、柳沢慎吾など。そこに少し遅れて佐藤浩市も加わるようになった。(中略)真田はおよそ4年前、時任らの紹介で、このグループに加わった。》 「1991年4月、真田はと手塚は渋谷のライブハウスで式を挙げるのですが、それは時任夫妻との合同結婚式でした。式には中井ら『ふぞろい』チームに加え、この年、真田が主演した大河ドラマ『太平記』(NHK)の陣内孝則(66)や柳葉敏郎(63)らも出席したそうです。一緒に式を挙げた真田と時任はもちろんですが、同年代の中井とも気が合ったんでしょうね。この3人は後にJRAのCMシリーズでも共演していました」 ところが、中井と真田はドラマや映画での共演はなかなかなかった。 「2005年公開の映画『亡国のイージス』では、主演の真田が海上自衛隊のイージス艦の先任伍長を演じ、対する中井はイージス艦を占拠する某国の対日工作員の敵役を演じてぶつかり合いました」 当時、中井が真田について語っている。
あ・うんの呼吸
《現場では、いちいち説明しなくても、あうんの呼吸で伝わるという感覚がありましたね。またそれぞれに尊敬の念を抱いたというんでしょうか。イージス艦のセットの一番上のところで、真田くんと2人、冷たい風に吹かれながら待ち時間を過ごした時、『日本の映画界で、こんなに本格的なセットの上で芝居ができるなんて幸せだねぇ』という話をしたのが、しみじみとうれしかったですね(笑)》(「東京ウォーカー」05年8月2日号) 一方、真田も中井について語っている。 「日々撮影しながら阪本(順治)監督の断面が見えてくる。映画監督としてのこだわりや骨っぽさ。そういうものが少しずつ滲んでくる感じを初体験して、すごく楽しかった。それは中井貴一さんにも感じました。彼とは市川準さんが演出したCMのシリーズをやったことがありますけれど、映画での共演は初めてで。役的には敵同士なんですが、同じようにキャリアを重ねてきた者だけに通じる“あ・うん”の呼吸を感じました」(「キネマ旬報」05年8月1日号) 別の媒体ながら、お互いに“あうんの呼吸”という言葉を使っているのが面白い。 「中井も映画『鳳凰 わが意』でプロデューサーを務めた時には『もうこりごり』と言っていたのですが、その後も裏方を続けています。盟友・真田に負けず、一緒に日本映画界を盛り上げていきたいと思っているはずです」
デイリー新潮編集部
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