札幌市が進める「敬老パス」見直しに賛否 制度の継続的運用とのバランスをどう考える?
各地で進む敬老パス見直しの動き、継続できる制度を運用するには
日本各地で敬老パスの見直しを進める動きがある。例えば、仙台市の敬老乗車証では、仙台市内に住む70歳以上の高齢者を対象とし、市バスや地下鉄、宮城交通バスを利用できる。今年の9月30日までは1000円のチャージにつき100円を負担することになっていたが、今年10月1日以降は1000円のチャージにつき250円を負担することとなる。負担金が増える理由は「事業費の増加等が見込まれ、敬老乗車証を持続可能なものにしていくため」(仙台市の担当者)とした。なお、介護保険料の所得段階に応じ金額は上乗せされる場合がある。 名古屋市では、利用回数の数え方を変更することになった。名古屋市に住む65歳以上を対象とした名古屋市の敬老パスでは、市バス、地下鉄、名古屋観光ルートバス「メーグル」、ゆとりーとライン(ガイドウェイバスなど)、あおなみ線(名古屋臨海高速鉄道)を1年で730回利用できる。利用負担金は1000円から5000円。しかし、今年2月1日から利用回数の数え方が変わり、市バスと市バス、市バスと地下鉄を90分以内に乗り継いで利用した場合には、今まで2回分と数えていたところを、1回分と数える。数え方が変わった理由は、「乗り継ぎする利用者もおり、730回という上限回数を不安に思うとの意見をもらっていたため」(名古屋市の担当者)だという。そのほか、京都市や神戸市などでも敬老パスの利用者負担を増やしている。 札幌市の敬老パス見直しに反対する団体を取材した際、「高齢者といわれるが、今生まれても60年後にはみんな60歳を迎える。それを想定して考えてほしい」と話していたのが印象に残った。しかし、札幌市側が「利用実態に大きな隔たりがある」と見解を示している通り、制度を効率的、そして継続的に運用するには、利用実態などに合わせた制度運用が求められるはずだろう。
小林 英介