自民・稲田朋美氏にも裏金寄付控除マネロン疑惑…法曹資格者、政治資金に厳格な姿勢どこへ?
「裏金マネーロンダンリング」は常套手段だったようだ。 自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件を巡り、稲田朋美幹事長代理(65=衆院福井1区)が2020~22年、安倍派(清和政策研究会)からキックバックされた計202万円を自らが代表を務める党支部に寄付し、所得税の一部を控除される税優遇を受けた疑いがあることが判明した――と28日付の毎日新聞が報じた。 【写真】自民・菅家元副復興相に「裏金で寄付控除」疑惑…マフィアさながら卑劣“マネロン”に国民呆れ キックバックされた裏金を寄付して税優遇を受ける手口は、同じ安倍派だった菅家一郎元副復興相(69=衆院比例東北ブロック)においても27日付の毎日新聞が報じている。菅家氏は「私だけではないと思う。他の国会議員さんだって寄付控除を受けられれば申請するじゃないですか」などと言っていたから、今後、稲田氏のように同様の手口を行っていた自民党国会議員が続々と出てくる可能性がありそうだ。 ■野党時代には舌鋒鋭く「政治とカネ」を追及 一方で、法曹資格を持つ稲田氏がこうした行為に手を染めていたとは驚く。とりわけ、稲田氏は政治資金に厳しい姿勢だったからだ。2012年3月の衆院法務委員会。稲田氏は当時の小川敏夫法務相の政治資金収支報告書の問題を取り上げ、こう追及していた。 「政治資金規正法違反、虚偽記載というのは決して軽い罪じゃないんですよね。虚偽記載の場合は、5年以下の禁錮、100万円以下の罰金、そういう厳しい処罰を伴う政治資金規正法違反なんですけれども、それに対しての確認が余りにもおろそか過ぎると思います」 そして小川大臣が「会計責任者の話、それから選管に届け出た収支報告の事務の取り扱いの状況から見て、間違いがないだろうと私は判断したということ」と答弁すると、稲田氏はこう畳みかけていた。 「領収書も見ていないし、会計者の話を聞いただけで、相手方についても確認をしていないし(略)私は、それは落ち度があると思います」 「会計責任者がそう言ったから間違いはないと判断しているという御答弁なんですけれども、(略)書かれている全ての項目の寄附金について、大臣の収支報告書が虚偽であるか、もしくは、もらった相手が不記載もしくは虚偽記載、どちらかだという状況になっているんです。(略)それが全てどちらかが虚偽ということになれば、大臣の方が虚偽だと考えるべきだと私は思いますが、いかがですか」 政治資金規正法違反(虚偽記載)は軽い罪じゃない。会計責任者の話を聞いただけで確認しないのは議員本人にも落ち度がある――。この時、稲田氏は極めて真っ当な指摘をしていたのだが、かつての「政治資金は厳格に扱うべき」とする自身の言動と、「裏金を原資に寄付控除を受ける」という手法の整合性はどう考えていたのだろうか。