ULAがデルタIVヘビーの最終打ち上げに成功 デルタシリーズ運用に幕
2002年11月に初めて打ち上げられた「デルタIV」ロケットは2段式の大型ロケットです。1段目のコア機体へ必要に応じて2本または4本の固体燃料ロケットブースターを装着する「ミディアム」と、2機のコア機体を液体燃料ロケットブースターとして装着する「ヘビー」の2タイプがあります。コア機体には「RS-68A」エンジンが1基(ヘビーでは合計3基)、上段の2段目には「RL10B-2」エンジンが1基搭載されています。推進剤はいずれも液体酸素と液体水素を使用します。 ミディアムは2002年11月に初打ち上げが行われ、2018年1月の「NROL-47」ミッションが最終打ち上げでした。ヘビーは2004年12月に初打ち上げが行われ、前述の通り2024年4月のNROL-70が最終打ち上げとなりました。 シリーズの最終打ち上げを飾ったデルタIVヘビーは、合計16回の打ち上げミッションに使用されました。そのうち12回はNROや米軍の国家安全保障に関わる衛星の打ち上げです。デルタIVヘビーは今回のようなフロリダ州からだけでなくカリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地でも打ち上げられており、2022年9月24日に実施された「NROL-91」がカリフォルニアからの最後の打ち上げミッションとなりました。 このように、デルタは宇宙開発初期の1960年代から現代まで、アメリカの安全保障に関わる衛星や探査機などを打ち上げてきた名機ともいえるロケットです。ULAのTory Bruno(トリー・ブルーノ)代表取締役兼CEOは「1960年代以来、デルタロケットは宇宙飛行の進化で重要な役割を果たしてきた」とコメントを寄せています。
■デルタを引き継ぐヴァルカン
ULAによると、デルタIVヘビーが担ってきた役割は同社が開発した新型ロケット「ヴァルカン」に引き継がれるということです。ヴァルカン初号機は2024年1月8日にアメリカの民間宇宙企業Astrobotic(アストロボティック)の月着陸船「Peregrine(ペレグリン)」を搭載して打ち上げに成功しました。 ヴァルカンによる次の商業打ち上げミッション「Certification-2(Cert-2)」ではアメリカの民間宇宙企業Sierra Space(シエラ・スペース)が開発した有翼式宇宙往還機「Dream Chaser(ドリーム・チェイサー)」が搭載され、今後数か月以内に打ち上げられる予定です。 Source ULA – Marking the End of an Era, United Launch Alliance Successfully Launches Final Delta IV Heavy Rocket ULA – NROL-70 ULA – DELTA IV ULA – DELTA IV HEAVY NRO – NEOL-70 Launches on Final Delta IV Heavy Rocket SpaceNews – End of an era: Delta 4 Heavy soars one last time