センバツ2022 市和歌山 益田拓磨コーチ(24) 選手成長に手応え、夏向け準備 /和歌山
母校・市和歌山を甲子園に導いた益田拓磨コーチ(24)。選手としてはかなわなかった出場を、再び母校のユニホームに袖を通し、指導者としてかなえた。 全国制覇だけが目標だった--。高校2年生の2014年秋、新チームが発足し、益田コーチは半田真一監督(41)や、同年夏の甲子園に出場した一つ上の代からの推薦で主将となった。「俺がこの代を引っ張っていこう」。やる気がみなぎっていた。現在でも社会人野球で活躍するなど、実力ある同級生がそろっていた。 しかし、センバツに加え、夏の選手権和歌山大会の準々決勝で智弁和歌山に僅差で敗れ、自身の代では甲子園にたどり着けなかった。一方、一つ下の後輩たちは春夏連続で甲子園に出場。「自分たちの代だけ行けず、悔しかった。一つ下の代の甲子園出場は特にうらやましかった」と振り返る。 学生時代、企業に就職するか悩んだ末、「人を育てる仕事をしたい」と教員の道を選択した。大阪府の出身だが、「高校野球で世話になった」と選んだのは和歌山。大学卒業後、別の学校での勤務を経て21年4月、保健体育の講師として母校に戻り、野球部のコーチとなった。 高校時代、汗を流したグラウンドで半田監督の下、技術的な指導をしたり、発破をかけたり、細やかに選手に接してきた。「自分たちが行けなかったから、コーチとして今回出場できてうれしいという気持ちは全くない」と素直な心情を吐露する一方、指導者としての喜びをこう語った。「(主将の松村)祥吾が特に頑張っている。選手たちが報われたのがうれしい」 最終回に追い上げられたが、皆で守り切った1回戦。緊迫した接戦を、劇的なサヨナラ勝ちで制した2回戦。そして、力及ばなかった準々決勝。「課題は出たが、選手たちは頼もしく一戦一戦成長してくれた。もう一度気を引き締めて夏に向けて準備をしていきたい」【橋本陵汰】