第93回選抜高校野球 投手層の差で明暗 悔しさ糧に夏へ再始動 上田西-広島新庄戦振り返る /長野
<センバツ高校野球> 第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)で23日、延長十二回に及ぶ熱闘の末、0―1で広島新庄(広島)にサヨナラで敗れた初出場の上田西。両チーム無失策の緊迫した好ゲームを振り返る。【皆川真仁】 エースに試合を委ねた上田西と、左右の両投手でつないだ広島新庄。最後に勝敗を分けたのは、大会前から懸念されていた投手層の差だった。切れ味鋭いスライダーを軸にアウトを重ねた上田西先発の山口謙作(3年)だが「球数が160を超えてスピードや切れが落ちていた」と疲労の色は隠せなかった。タイブレークを目前に控えた十二回裏2死一塁、甘く入った162球目のスライダーを4番の花田侑樹(同)に痛打され、力尽きた。 一方の広島新庄は八回表1死二塁でこの日2安打の1番・笹原操希(同)を迎えたところで先発の花田から左腕の秋山恭平(同)にスイッチ。2者連続三振でピンチを切り抜け、出場校中トップのチーム打率を誇る上田西打線に最後まで得点を与えなかった。 炎天下での連戦となる夏に向けて、上田西はこの日ブルペンで待機していた右腕の堀内琢斗(同)らの成長に期待がかかる。 試合後に吉崎琢朗監督(38)が「選手を信じ過ぎた」と悔やんだのが、六回表の攻撃だった。先頭の笹原が左前打、続く梅香拓海(3年)がセーフティーバントで無死一、二塁と好機を広げ、2打席凡退の柳沢樹主将(同)に打席が回った。初球の犠打失敗を見た吉崎監督は「あいつが一番練習を頑張っていた」と強攻策に出たが、結果は最悪の併殺打。主将への厚い信頼から、皮肉にも絶好機を逃すことになった。 熱戦から一夜明けた24日、吉崎監督は「『いい試合をした』と言ってもらえるだけに、悔しいのでは」と選手たちの心情を代弁した。早速26日に同校でミーティングを開き、夏に向けて再始動する予定だ。大舞台での経験と味わった悔しさを糧に、初の甲子園春夏連続出場に向けて挑戦を続ける。