ライチョウどこで見つけた? 目撃情報アプリ、予想を超え好調 新たな生態も判明
年300件目標⇒3年弱で1200件集まる
登山者が国特別天然記念物の長野県鳥・ライチョウの目撃情報を投稿できる無料アプリ「ライポス」の利用が、想定を超えるペースで伸びている。開発した長野県は当初、年間300件以上の投稿を目指していたが、運用開始直後から目標を達成し、3年弱で約1200件に達した。 【地図】長野県全域での目撃情報はこちら。多いのはどのあたり?
生息地の把握は生態を読み解くヒントにもつながっており、県は本格化する夏山シーズンを前に一層の協力を呼びかけている。情報を募る対象エリアは県内の山岳地帯。ライチョウを見つけた登山者は日時、場所、天気、個体数、撮影した写真を登録する。位置情報システムを搭載したスマートフォンだと正確な目撃地点も記録できる。集まった情報を落とし込んだ地図は県がホームページで公開している。
ライポスは2021年6月30日に運用をスタート。投稿件数は初年度が338件、22年度が466件と順調に伸び、23年度も24年1月までの集計で397件になった。紙やメールで情報を募っていた際の年間約200件から比べると約2倍に跳ね上がった。県自然保護課の担当者は「ありがたい順調な数字」とする。
研究の基礎データとして活用も
データが蓄積されることで、新たな生息地の発見や個体数の増減、生息区域の拡大・縮小の把握につながる。情報は環境省に提供しており、研究者の基礎データとしても活用されているという。
23年12月時点のまとめによると、季節別の投稿数は登山者が多い7~9月が7割を占め、ヒナの目撃例が多い。また、調査用の足輪を付けた幼鳥が南アルプスの北部から南部へ移動したことが判明。これまでは別々の集団と考えられていたが、同じ一つの集団との推論も浮かび上がった。
ライポスは、官民連携の「ライチョウ保護スクラムプロジェクト」の一環で開発した。同プロジェクトでは、北アの生息調査やライチョウを捕食する中央アルプスのニホンザル追い払いにかかる費用を募るクラウドファンディングを実施中で、8月末まで県のウェブサイト「ガチなが」で受け付けている。目標額は1300万円。
県自然保護課は「投稿が多くなるほど統計としての精度が高くなる。より多くの人とスクラムを組みライチョウ保護を進めたい」としている。