「賢く闘っていない」 ヘンリー王子、ついに裁判でメディアに「敗北」...夫妻にとって、どこまで誤算?
<大衆紙を相手取った数々の訴訟の1つで「敗北」したヘンリー王子。メディアを訴え続けるのは母ダイアナの「復讐」のためか>
英ヘンリー王子は、イギリスの大衆紙の中でも最も嫌いな新聞に、初めての「敗北」を喫した。弁護士によれば、これはヘンリーが「賢く闘っていない」ことの表れだ。 【動画】キャサリン妃に「冷え切った目」で見られ、メーガン妃が激しく動揺した場面が話題に ヘンリーは1月19日、メール・オン・サンデー(MoS)紙に対する名誉毀損訴訟を取り下げた。ヘンリーの広報担当者によれば、このまま裁判を闘えば、彼が嘘を言っているというMoS紙の主張が蒸し返され続けるという懸念があったという。 訴訟が起こされたのは2022年2月。ヘンリーが王室を離脱する際に警察の警護を受けられなくなることを不満とし、「費用は私費で出すから警護をつけてほしい」と申し出た件についての記事をめぐるものだ。訴訟は記事の掲載からわずか4日後に起こされており、ヘンリーの反発の強さがうかがえる。 MoS紙はこの記事で、ヘンリーが22年1月に警護再開をめぐり内務省を訴えたことをスクープした。記事は、ヘンリーの代理人が王子は警護費用を自己負担する意向だと述べた声明を引用していた。 この声明は20年1月に、ノーフォーク州にあるエリザベス女王(当時)の私邸サンドリンガム・ハウスで開かれた王室の家族会議でヘンリーが行った警護費用に関する申し出に触れている。 だが内務省の弁護士は、裁判所に提出した書類で「(警護費用を私費で払うというヘンリーの)申し出は......21年6月の時点で王族・要人警備執行委員会(RAVEC)に諮られておらず、その後に行われた訴訟前のやりとりにも含まれていない」と述べている。 MoS紙は、警護費用の申し出に関するヘンリー側の説明は、同紙の報道に反応してヘンリーのイメージを保つために行われた対応だと書いた。 記事の見出しにはこうある。「ヘンリー王子はこうして、警察の警護をめぐる政府との法廷闘争を秘密にしておこうとした......そして、このニュースが報じられたわずか数分後、彼のPRマシンはこの争いをポジティブに見せかけようと動いた」 ■「ヘンリーが賢く闘っていないことの表れ」 だが約2年後の今、ヘンリーはこの訴訟を取り下げたことで75万ポンド(約1億4000万円)の訴訟費用を負担することになるかもしれない。MoS紙は、記事は同紙の「率直な意見」なので名誉毀損法の対象外だと主張していた。 メディア法や言論の自由に詳しい著名な弁護士マーク・スティーブンズは「基本的には意見記事なので、彼が勝訴する見込みはなかった」と言う。 「この訴訟を起こしたのは、自分にとって非常にデリケートな問題だったからだろう。実際、妻メーガン妃が極右からの脅威にさらされていたことは、王室警護の責任者のインタビューから分かっている。(今回の訴訟取り下げは)ヘンリーが賢く闘っていないことの表れだと思う」 この一連の騒動は、ヘンリーが抱える10件に及ぶ訴訟に関する彼の判断に疑問を投げかける。 メーガンが父親に宛てた私信の一部がMoS紙に公表され、プライバシーを侵害されたと訴えた裁判は、勝つには勝った。だがその過程で彼女は、「誤解を与える意図はなかった」と裁判所に謝罪しなくてはならなかった。