ロシア軍がアウジーイウカの主要補給路を遮断 ウクライナ側は予備到着も難局に
ロシア軍は13日から14日にかけての夜、ウクライナ東部アウジーイウカ市内を走る主要な舗装路を突き切ったと報告されている。 ウクライナ軍の迫撃砲やドローン(無人機)をものともせず、ロシア軍の第2、第41両諸兵科連合軍の部隊は市北郊の以前の陣地から南へ数百m前進し、アウジーイウカ守備隊のおそらく3本ある補給線の1つであるこの産業道路を遮断した。 ウクライナ側にとって問題なのは、損なわれていない残り2本の補給線は、砲弾の穴だらけで、ぬかるみ、南北両側からロシア軍の火力にさらされる未舗装路だということだ。つまり、これらのルートはまだ生きていると言っても、ロシア側の攻撃に対してきわめて脆弱なのだ。 4カ月にわたるアウジーイウカ攻防戦が最終局面を迎えているとみられるなか、これは決定的な要因になる可能性がある。ロシアの占領下にあるドネツク市から北西へわずか8kmほどのアウジーイウカは現在、ロシアがウクライナで拡大して2年近くたつ戦争の焦点になっている。 アウジーイウカ守備隊の中心を担ってきた第110独立機械化旅団は疲弊し、新しい人員や弾薬の不足に苦しんできた。弾薬不足は、ロシアに同調しているように見える極右の米共和党議員らが昨秋以来、米国によるウクライナへの援助を阻んでいることが主な原因だ。 守備隊の補給不足にはさらに拍車がかかる可能性が高い。こうした事態を予期し、多くのアナリストは数週間前から、ウクライナ軍の指揮官は守備隊を撤退させ、市の西郊もしくは市外のより有利な防衛線に移すべきだと警告してきた。 ウクライナ軍は戦い方を変えつつある兆しがあり、これは軍指導部の大幅な入れ替えと軌を一にする。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は先週、カリスマ的な人気を誇る軍トップのバレリー・ザルジニー総司令官を解任し、あまり人気のないオレクサンドル・シルシキー陸軍司令官を後任に据えた。 ザルジニーは、自軍の損耗を最小限に抑えるために機動防御を支持していたと言われ、一方のシルスキーは、比較的固定した陣形で頑強に戦い、大きな損耗もいとわない姿勢とされる。 ゼレンスキーはシルシキーを総司令官に昇格させることで、たとえ大きな犠牲を出してでも、アウジーイウカで戦い続ける意思を示した可能性がある。