「大学で学び直したい」という60代の父。月15万円の「年金暮らし」なので応援してよいものか分かりません…
仕事や子育てが落ち着き、時間ができたので、もう一度大学で勉強をしたいとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。 しかし定年後は、収入が年金のみになる方も増えるでしょう。そのため、定年後の方が大学費用を払えるのかと、不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。 今回は、定年後に学び直したい場合の方法や費用について解説します。
定年後に大学で勉強する方法
定年後に再度勉強をして大学に入るとなると、学生のときや若い頃よりもハードルが高いと感じる方もいらっしゃるでしょう。そういった方の事情も踏まえて、定年後に学びたいというニーズに応じた入学方式や学習方法を採用している大学もあります。 定年後に大学で学び直したい場合には、以下のような方法があります。 1. 一般の大学の「社会人枠」「シニア枠」で受験して、入学する 2. 通信制大学を利用する 3. 高齢者・シニア向けの大学へ入学する 1. 一般の大学の「社会人枠」「シニア枠」で受験して入学する 複数の大学が「社会人枠」「シニア枠」の受験方式を設けています。例えば、東京経済大学や東京基督教大学、関西国際大学などがあり、それぞれの費用は、以下の表の通りです。 表1
※各大学サイトをもとに筆者作成 入学金と授業料などを合わせると、100万円ほどかかることが分かります。以上のことを踏まえると、定年後に一般の大学で学び直したい場合には、貯蓄に余裕があったほうが安心でしょう。 シニアの方の入学を促すため、奨学金や優待制度を設けている大学もあります。 2. 通信制大学を利用する 通信制大学は、自宅で教材を用いた学習を行ったり、一定回数または一定期間大学に通学して授業を受けたりすることが可能です。 通信制大学を利用するケースでは社会人が多いため、一般教養に加えて、テーマを絞った専門性の高い学習ができるように、カリキュラムが練られています。 通信制大学は、通常の大学に比べて学費が安く設定されていたり、大学によってはシニア奨学金が支給されたりするところもあり、費用を安く抑えることも可能です。 3. 高齢者・シニア向けの大学へ入学する 高齢者の生きがいづくりや、能力再開発のために、高齢者・シニア向けの大学も設置されています。 「大学」という名称ではありますが、多くは、一般の大学のように学校法人が運営するものではなく、公益財団法人や都道府県・市町村の高齢課で運営されています。受講条件・募集条件については、身体的に健康であることや、地域社会に貢献できる意欲があることなどが求められます。 高齢者・シニア向けの大学は、一般の大学に比べて入学金が無料~5000円ほどであったり、授業料も年間を通して数万円ほどであったりと、リーズナブルに学べることが特徴です。 しかし定年後は、収入が年金のみになる方も多いでしょう。 総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要」によれば、65歳以上の単身無職世帯で毎月の生活にかかる支出額は、14万3139円であることが示されています。そのため、15万円以下の年金を受給している場合には、ゆとりのある生活を送ることは難しいでしょう。 毎月の支出に加えて、高齢者・シニア向け大学での学び直しの費用を払うことを考えると、貯蓄の額に余裕をもたせることが大切です。