映画初主演のMOROHA・アフロ「今、ようやく一人前になれた気がする」
1本のアコースティックギターの演奏にのせて、聴き手の感情に激しく訴えかけるようなリリックをぶつける2人組バンド、MOROHA。そのMCをつとめているアフロが映画初主演に抜てきされた『さよなら ほやマン』が現在公開中だ。 【動画】『さよなら ほやマン』の撮影中につくった曲 同作は、宮城県石巻の離れ島を舞台に、そこで弟と暮らす漁師の青年・阿部アキラの葛藤を描いている。今回はアキラ役のアフロに、同作に関連するさまざまな話を訊いた(取材・文/田辺ユウキ)。 ■「作品に本気で向き合う」自らチラシ配りも ──アフロさんは作品公開の発表時のコメントで、「生き様でナメられたくないから、台本を気が遠くなる程に読み込んだ」とおっしゃっていました。この「ナメられたくない」の真意を教えてください。 この映画の俺の立ち位置って、ミュージシャンが役者の畑へ行くということ。でももし逆の立場だったら、それってどう思うか。こっちが命をかけてきた音楽の畑にそれ以外の畑の人が入ってくるとき、少なくとも本気であることを示して欲しいんです。 だから自分も、映画のスタッフさんや共演者に向けて「本気で向き合います」という意味を見せたかった。だから、この映画へ出演するにあたって小型船舶の免許を取ったりしました。 ──「そこまでやるなんて」と驚く人はたくさんいるはず。 俺はそういう風にやってきた人生なんです。そして、そういう人間が今回は主役として真ん中に立つんです。だからナメられたくなかった。今回のプロモーション活動でも、自分で映画館へ行って、チラシを配ったりしています。そういう行動もMOROHAの活動の延長線上にあるんです。 ──映画館を出たときにアフロさんがチラシを配っていたら、「え、MOROHAがいる!」とびっくりしちゃいそうです。 そういう意味で「良かったな」と思うことがあるんですけど、俺ってちょっとだけ有名なんです(笑)。だからチラシも読み込んでくれるし、受け取った人が縁を感じてくれる。これはよく話すことなんですけど、無名なのにチラシを配っても実はほとんど意味がない。知らない人から、知らないバンドのフライヤーをもらってもなかなか行かないじゃないですか。 だけど、そういう無駄なことから磨かれるものは確実にある。そこで感じた悔しさとかも一つの経験になる。それに俺が演じたアキラって、絶対にチラシ配りをがんばってやるタイプじゃないですか。そういう部分に自分と役の近さを感じて「よし、チラシを配ろう」って。