世界経済、脱炭素化に大幅な遅れ 新興国で排出拡大=フィッチ
[ロンドン 9日 ロイター] - フィッチ・レーティングスは9日、世界経済の脱炭素化のペースが非常に遅く、主要先進国では改善が見られるものの、新興国では二酸化炭素(CO2)の排出が削減されていないとの報告書をまとめた。 報告書によると、昨年の世界のCO2排出量は1.8%増、域内総生産(GDP)は2.9%増だった。 排出量の対GDP比は1%強しか減少しておらず、過去25年間の年間平均とおおむね同水準。2050年までのネットゼロ(排出量実質ゼロ)達成には20─30年に毎年8%の減少が必要になるが、この水準を大幅に下回っている。 先進国10カ国の排出量は1970年以降で最低の水準に減少したが、新興国全体では脱炭素化に向けた進展が見られず、新興国10カ国のCO2排出量とGDPは昨年4.7%増加した。 フィッチは「新興国で脱炭素化が進んでいないことは特に懸念される。新興国はGDPの伸びが加速し、世界のエネルギー消費に占める割合が高まっている」と指摘。 原因の1つとして、特に中国を除く新興国でクリーン・エネルギー・プロジェクトへの投資が不足していることを挙げた。