大航海時代にタイムトリップできる！

ブレゲ 「マリーン オーラ・ムンディ 5557」1224万3000円。

スマートフォンひとつあれば世界各地の時間がひと目でわかる時代だからこそ、あえてアナログのトラベルウォッチに注目したい。いよいよ本格的に空港や観光地がにぎわいを取り戻した2024年。エンジン時計委員会が、機能的にもデザイン的にも優れたトラベルウォッチを厳選した。3本目の今回は、3年の開発期間を要した独自のタイムゾーン変更機構を搭載する自社ムーブメントのブレゲのマリーン オーラ・ムンディを取り上げる。 【写真１８枚】まるで文字盤の上を航海するようなロマンがある！　ブレゲのマリーン オーラ・ムンディの詳細画像はこちら ◆ロマンティックな表情が魅力のワールドタイム「マリーン オーラ・ムンディ 5557」 「オーラ・ムンディ」とは世界の時間を意味。世界の主要都市と現地の時間を対応させる点ではワールドタイムの一種だが、ブレゲが開発したメモリー機構付きのインスタント・ジャンプ・タイムゾーン表示システムにより、8時位置のボタンを押すだけで時針が6時位置に示される都市の時刻へと瞬時に切り替わる。必要な時刻のみをシンプルに表示する機構が秀逸だ。自動巻き。ローズゴールド。ケース直径43.9mm、10気圧防水。1224万3000円。 ◆「帆船航海へ思いを馳せる」柴田充 以前グァムから沖縄まで約1週間の帆船航海を体験した。素人が船員として、調理や清掃もすべて自分たちで行ない、夜間も3交代制で航海を続ける。自由時間はほとんどない。それでも高さ20m以上のマストに上り、作業中に眺めた水平線に地球が丸いことを実感した。この文字盤からはそんな記憶が蘇る。そしていつかまた煌々たる月光の航海に出帆したいと思うのだ。 ◆「腕の上に旅情を載せて」野上亜紀 細かいスペックはキャプションに載るので割愛するが、メモリー機構を持つ使い勝手の良さは、やはり何かと忙しい旅の道具に欠かせない。かつ、やはり目を奪うのが美しいレイアウト。一見3針に見えるギリギリまで抑えた表示が、文字盤の雄大な景色をさらに広げてくれる。波模様や大陸の地図、海に浮かぶ月と太陽。腕の上に載る小さな情景にロマンを感じてならない。 （ENGINE2024年5月号）