河野太郎氏が子宮頸がんワクチンは危険だと演説? 発言の切り取り【ファクトチェック】
子宮頸がんワクチンは「有効性がリスクを明らかに上回る」
子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)は、公費負担による接種が積極的に勧められていたが、接種後に強い痛みなどを訴える人が出て2013年6月に積極的な勧奨が中止された。その後、「接種の有効性が副反応のリスクを明らかに上回る」と認められて、2022年4月から積極的な勧奨が再開された(厚労省「HPVワクチンに関するQ&A」)。 厚労省の資料によると、日本では毎年、約1.1万人の女性が子宮頸がんにかかり、2900人が亡くなっている。患者は20歳代から増え、30歳代までにがん治療で子宮を失う女性が年間約1000人いる。 HPVワクチンは種類にもよるが、子宮頸がんの原因の50~70%、80~90%を防ぐ。リスクは接種部位の痛みや腫れなど。まれに重いアレルギー症状、神経系症状もある。これまでの報告頻度は、因果関係がわからないものや短期間で回復した症状を含め、接種1万人あたり約3~9人だという(以上、厚労省「HPVワクチンについて知ってください」)。
判定
「河野太郎、子宮頸がんワクチンの危険をうっかりバラした」という言説が自民党の河野太郎前衆議院議員の演説の動画と共に拡散したが、ミスリードで不正確。動画は、前後の文脈を無視して河野氏の発言の一部を切り取っている。
あとがき
選挙期間中は、政党の公約や候補者に関する大量の偽・誤情報が拡散します。誤った情報を信じて投票してしまうことになれば、選挙結果に影響を与え民主主義そのものを毀損しかねません。 JFCの選挙時の偽・誤情報に関する解説記事も参考にしてください。 総選挙で拡散した/する偽・誤情報への「情報のワクチン」【解説】(関連記事でご覧ください) 検証:宮本聖二 編集:古田大輔、藤森かもめ 判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。