軽くなっていくのは荷物だけに… 桂小春団治 hanashikaの時間。
われわれ落語家の商売道具は見台(けんだい)や座布団、太鼓といった鳴り物などがありますが、寄席にはそれらのものが常備されているので、仕事で持っていく商売道具としては着物だけの場合が多いようです。 着物も季節によって違って冬場は袷(あわせ)といって裏地が付いたもの、春と秋は単衣(ひとえ)といって裏地のないもの。そして、夏場は絽(ろ)というメッシュになった涼しげなものを着る場合が多いのですが、冬物の袷は二重になっているし生地も厚めなので当然一番重く、夏物の絽が一番軽い。 年を取るとだんだん荷物が重く感じられ、どうせ客席からは裏地付きの袷も裏地の付いてない単衣も分からないだろうと、冬でも薄い単衣ものを着る人も増えてきて、少しでも荷物を軽くしようとします。 楽屋から舞台まで履物がいらないと分かると、雪駄(せった)を家に置いてきて少しでも荷物の軽量化をはかったり、履物がいるとしても、お客さんに見えないところでしか履かないからと、ビジネスホテルにあるような、使い捨てのペラペラのスリッパで堂々と楽屋から舞台に臨む人までいます。 どんどん楽な方へ流れる噺家たち。荷物が軽くなるのはいいけれど、芸まで軽くならないように気をつけねば(笑)。 さて恒例の独演会が迫ってきました。桂小春団治独演会は11月30日(土)午後6時から、朝日生命ホール(大阪市中央区)で。小春団治「あんま炬燵(こたつ)」「普通の境界線(仮)」。問い合わせは松竹芸能(06-6258-8085)。ぜひお越しを。