見習い「美容師」です。毎日勤務時間の前後に練習を強要されます。これって「残業」にあたりますか?
美容師になりたての方の中には、カット練習を営業時間外に行うことがあるでしょう。営業時間外の作業ではありますが、残業代がしっかり払われているのか気になるところです。 本記事では、見習い美容師が勤務時間前後にカット練習を指示されている場合の残業代の有無について解説します。また、サービス残業の多い美容師業界の背景についても触れるため、美容師として働きたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
カット練習の時間も労働とみなされる場合がある
厚生労働省「確かめよう労働条件」の中に、労働時間とは、使用者の指揮命令下にある時間を指すと明記されています。美容師として働く人の中には、店舗の営業時間内が労働時間にあたり、営業時間外は労働にあたらないと考えている人もいるでしょう。しかし、店舗の営業時間外だったとしても使用者の指揮命令下で作業や業務を行っている場合は、労働時間にあたります。 それを踏まえて、営業時間前後のカット練習が労働や残業にあたるか2つのパターンで見ていきましょう。 ■店長からカット練習を指示されている場合 店長から営業時間外の時間を使ってカット練習を行うよう指示されている場合、使用者の指揮命令下にある時間とみなされるでしょう。そのため、カット練習でも労働時間になるため残業代の支払いが発生する可能性があります。 見習い美容師のカット練習は基本的技術を身に付け、店舗で働くために欠かせない時間です。そのため、もし明確な指示がなかったとしても、黙示的な命令があったとみなされる場合もあります。つまり、営業時間外であったとしても見習い美容師は残業代を請求する権利があるといえるでしょう。 ■基本技術以外の高度なカット練習を自主的に行っている場合 店舗で勤務するにあたって最低限必要な基本技術ではなく、より高度な技術を身に付けるために自主的にカット練習を行っている場合は、使用者の指揮命令下にあるとは判断できない可能性があります。 つまり、労働時間とはみなされず残業代の請求ができない可能性があるでしょう。ただし、高度な技術を必要とするカット練習であっても店長や上司から指示を受けて練習を行っている場合は、使用者の指揮命令下とみなされます。 指揮命令下にあるか、自主的な行動であるかの判断が難しい場合は、労働基準監督署や弁護士への相談がおすすめです。