センバツ2024 準決勝 報徳、悲願へあと一つ 2年連続、決勝進出 /兵庫
第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)に出場している報徳学園は30日、準決勝で中央学院(千葉)を4―2で降し、2年連続の決勝進出を決めた。天候に恵まれ、三塁側スタンドは地元チームを応援する家族連れやOBたちでほぼ満席となり、グラウンドに向けて大声援が送られた。報徳学園は大会第11日(31日午後0時半開始予定)の決勝で、昨年逃した優勝をかけ、健大高崎(群馬)と対戦する。【稲田佳代、中田博維、野原寛史】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 小雨降りしきる中、大阪桐蔭(大阪)を破った準々決勝から一転、球場は春の陽気に包まれた。最大のライバルを破った後に敗れ、準優勝に終わった前回を思い出し、選手たちは気持ちを切り替えて試合に臨んだ。 その姿勢通り、初回から積極的に攻めた。口火を切ったのは先頭打者の橋本友樹選手(2年)。右前打で出塁し、犠打などで2死二塁の好機に。続く斎藤佑征(ゆうと)選手(3年)が中前適時打を放ち、この日も先制点を挙げた。母英里さん(49)は「幼い頃から気になることは徹底してできるまでやる性格で練習を欠かさない。それが結果につながったのでは」と喜ぶ。 四回に同点に追いつかれたが、その裏に辻本侑弥選手(3年)の右前適時打などで再びリード。2点先行した九回、2死二、三塁のピンチで、間木歩投手(同)から交代した今朝丸(けさまる)裕喜投手(同)が最後の打者を左飛に打ち取ると、スタンドから「よし!」と声が上がった。 紫紺の優勝旗は目前に迫った。前回準優勝をマネジャーとして経験した山本航大さん(18)は「16強の段階から健大高崎との決勝戦を予想していた。でも報徳が優勝する」と力強く言い切った。 ……………………………………………………………………………………………………… ■熱球 ◇一番いい形で打てた 辻本侑弥選手(3年) 同点に追いつかれて迎えた四回裏、つなぐ意識で低めのフォーク球を右前に打ち返し、決勝点となる2点目を挙げた。 初戦から11打数1安打と低迷したが、田村惺(せい)選手(3年)らチームメートの励ましで気持ちを立て直した。コーチの指導で頭と体の軸をまっすぐ合わせるようスイングを修正し、「自分の中で一番いい形で打てた」と喜ぶ。 報徳学園中の軟式野球部出身。高校で硬式に転じた当初は送球での力の入れ具合の違いなどに戸惑ったが、地道な練習で弱肩を克服。体重増で打球の速度を上げてメンバーに入り、左翼手として甲子園の舞台に立った。 小学生の頃、「つきっきりの指導で自分を変えてくれた」と慕う少年野球チームの丹山勇コーチ(52)は「足が速く空間認識能力も高かったが、レギュラーになるとはすごい」と感心する。 この日左翼に長打が集中。だが、最後の左飛はがっちりキャッチした。「決勝戦は自分が投手を助けたい」と誓う。【稲田佳代】 〔神戸版〕