途上国から先進国に「気候資金」拠出拡大求める声相次ぐ COP29首脳級会合
世界各国が地球温暖化対策を話し合う国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)は12日、アゼルバイジャンの首都バクーで首脳級会合が始まった。世界の温室効果ガス(GHG)排出の約3割を占める中国を含む途上国の代表からは、先進国に気候変動対策資金の拠出拡大を求める声が上がった。ロイター通信などが伝えた。 中国の丁薛祥(てい・せつしょう)筆頭副首相は「先進国に途上国への財政支援や技術移転を増やすことと、さらに野心的な(温暖化対策)目標の設定を求める」と述べた。議長国で産油国のアゼルバイジャンのアリエフ大統領は米国を念頭に「われわれの30倍の石油を生産している国のメディアがわれわれを『産油国』と呼ぶのは不公平だ」と指摘。産油国に温暖化対策の強化を求める論調に不満を表明した。 海面上昇の危機に直面しているインド洋の島国モルディブのムイズ大統領は「われわれ(途上国)の温暖化対策を阻んでいるのは資金不足だ」と指摘。COP29の主要議題である来年以降の先進国から途上国への温暖化対策資金の拠出目標について「数兆ドル」に設定すべきだと訴えた。 国連のグテレス事務総長は、世界の気温上昇を産業革命以前から「1・5度」以内に抑えるとするパリ協定などに基づく目標について「(失敗への)最終カウントダウンが始まっている」と危機感を表明。温暖化抑止に向けて先進国に資金拠出の拡大を求めた。 一方、英国のスターマー首相は12日、2035年までに英国がGHG排出を1990年比で81%削減するとする新たな国家目標を発表した。(小野田雄一)