伝統校・所沢商が開幕戦で5回コールド勝ち!指導者、選手も念願だった校歌斉唱を叶える【24年夏・埼玉大会】
<第106回全国高校野球選手権埼玉大会:所沢商10―0連合E(5回コールド)>11日◇1回戦◇埼玉県営球場 【トーナメント表】埼玉大会 トーナメント表 曇天でここ数日の猛暑日と比べると比較的過ごしやすい中、今年も夏の埼玉大会が始まった。今大会の変更点として挙げられるのは1回戦からの校歌斉唱だ。これは埼玉大会ではこれまでなかったことだ。開会式後の開幕試合は古豪・所沢商 vs 連合E(羽生実業・羽生第一・児玉・深谷)との一戦となった。校歌を歌うのは果たしてどちらか。 先発は所沢商が臼井然乃助(3年)、連合Eが2年生の加藤陽斗(羽生一)と両エースが登板し試合が始まる。 臼井は冬場に肩や肘を痛め今春は万全ではなく背番号1を譲ったが、今夏は背番号1として先発のマウンドに復帰。初回から2三振を奪うなど万全の立ち上がりを見せる。 すると2回裏、所商打線が連合E・加藤に襲いかかる。 所沢商はこの回先頭の濱田悠聖(3年)がライト前ヒットを放つと、さらにライトが後逸する間に三塁へと進む。無死三塁から続く年本匠磨(1年)がライト前タイムリーを放ちまず1点、さらに8番・金子ユウドウェイン(1年)の犠打など二死三塁とすると、1番・間川遥斗(3年)がセンター前タイムリーを放ち2点目を奪う。間川がすぐに二盗を決めると、続く長瀬遼(1年)も四球を選び二死一、二塁とチャンスを広げる。3番・八百板俊樹(3年)がレフト線へタイムリーを放つと、続く臼井の所ですかさず二盗を決め二死二、三塁とする。ここで臼井は左中間へ2点タイムリー二塁打を放ち早くも5点差をつける。二走・臼井は相手ボークで三塁へと進むと、5番・小泉琥太郎(3年)の内野ゴロがタイムリーエラーとなるなど、結局、所沢商はこの回一挙6点を奪うビックイニングを作る。 試合の流れを完全に掴んだ所沢商業は、3回裏にもこの回先頭の年本が相手エラーで出塁すると、さらに相手ワイルドピッチで二塁へと進む。ここで相手ベンチは倉林岳心(深谷)へスイッチするが、一死三塁から9番・齋藤虎峨(3年)がセンター前タイムリーを放ち7-0としコールドペースに持ち込む。 所沢商は4回裏にも、この回先頭の八百板が左中間へ二塁打を放ち出塁すると、続く臼井もレフト前ヒットを放ち無死一、三塁とする。ここで相手ベンチは3番手・平野龍一(深谷)をマウンドへ送るが、5番・小泉の内野ゴロの間にまず1点、続く濱田が死球で出塁しチャンスを広げると、7番・年本がライト越えのタイムリー二塁打を放ち9点差、さらに続く金子の所で相手ワイルドピッチにより10点差をつける。 投げては所沢商・臼井が5回参考ながら相手打線を無安打に抑える。 結局、所沢商が5回コールドで連合Eを下し開幕試合を制した。 まずは連合Eだが、 「今回は北部のチームと合同ということで物理的な距離があるので週末しか集まれない。なので顔と名前を覚える所から始め、個人のパーソナリティーを理解すべく選手達にはとにかくコミュニケーションをとることを勧めた。練習は主に日曜、羽生第一や羽生実業で、練習試合は毎週土曜、児玉高校が本庄市のリーグに参加しているということで、そこに我々が合流して本庄で行った。何もかもやろうとすると難しいので守備が中心、練習試合の反省点の修正が主になります。自分達のやるべきことはできたかなと」(羽生第一・出﨑監督)と、どうしても新入生の関係で秋・春と夏で連合のチーム編成が変わるため、今回も例外なく春以降一からチーム作りを行い、数少ない期間でこの日に臨んだ。先発の加藤は春から投手を始めただけに責められない。 むしろ開幕試合の重圧がありながらも四球で崩れることなく、良く投げていたが相手打線が上だった。野手陣も多少のエラーはあったが最後までガタガタと崩れることはなかった。監督、選手共に出し切れた表情であった。 一方の所沢商は今大会校歌斉唱第一号。過去甲子園へ3度出場している古豪だけにOBも含め感慨深いはず。1978年は甲子園で1勝し甲子園で校歌も歌っている。 「自分が現役の時も歌えたらという悔しい気持ちと新鮮な気持ちで、今大会初めての校歌を県営大宮球場で歌えたのが大きい」(穐本監督)、「勝てて歌えてよかった」(年本)、「校歌を歌えて気持ち良かった」(臼井) と選手、監督共に校歌に対し、それぞれがそれぞれの想いを語った。 「とにかくバットは夏まで振らせてきて、しっかり準備をして試合前まで振らせていたのでその結果が出た。年本は春以降伸びてきたのでスタメンで使った。臼井は緊張せずに投げていてゲームは作ったかなと。とにかく一戦一戦守備や走塁のミスを修正して次戦に臨みたい」 と、打線が13安打を放つなど好調。OBの穐本監督も夏の初采配での1勝に、課題を挙げつつも、まずは安堵の表情を浮かべた。春課題に挙げていた1年生の育成の部分に関しても、体が出来上がり明らかに春とは違う印象を受けた。 投手陣では先発・臼井はこの日まずまずの出来といったところか。 「力んだんですが、イニング間で修正した。今後も僕が投げ切ります。(春好投の)八百板にはマウンドを譲りたくない」(臼井) と、これまで出遅れた分、夏の巻き返しを誓った。打線が好調なだけに投手陣の二枚看板が上位進出の命運を握る。