プーチン政権5期目始動も「軍事・治安体制」に変化なし…ウクライナ戦争の今後の展開を決める「4つの要因」を考えてみた
5月7日、プーチン大統領は、5期目の大統領就任式に臨んだ。スターリンに並ぶような超長期政権となる。しかし、ウクライナ戦争は変わることなく今もなお続いている。プーチン政権の今後、そして停戦の可能性について考えるーー。 【写真】5期目のプーチンが目指すのは、オーウェル『1984』の世界!
内閣改造人事に着手
5月9日、プーチンは、第二次世界大戦戦勝記念日の軍事パレードで国威を発揚し、核戦力の使用を示唆して西側を牽制したが、その後、内閣改造人事に取り組んだ。 プーチンは、ミハエル・ミシュスチン首相(58歳)の実務者としての能力を高く買っており、続投させることにした。アントン・シルアノフ財務省(61歳)も同様に留任した。 また、ニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記(72歳)の息子のドミトリー・パトルシェフ農相(46歳)は次世代のリーダー候補として注目を集めているが、プーチンは彼を副首相に据えた。 第一副首相はデニス・マントゥロフ(55歳)、副首相は総勢10人である。他の8人は、アレクサンドル・ノヴァク、ヴィタリー・サヴェリエフ、ドミトリー・グリゴレンコ、ドミトリー・チェルヌィシェンコ、タチヤナ・ゴリコワ、マラト・フスヌリン、アレクセイ・オヴェルチュク、ユーリー・トゥルトネフである。 一方、セルゲイ・ショイグ国防相を交代させ、国防相にはアンドレイ・ベロウソフ第一副首相(65歳)を充てる。 ベロウソフは経済学者出身で経済発展相や経済担当の大統領補佐官を歴任したが、軍人ではないし、軍事の専門家ではない。しかし、経済分野で発揮した実力を戦争指導でも活かしてほしいというのが、プーチンの狙いで、戦争の長期化を念頭に戦時経済体制の確立を企図している。 戦時中に国防大臣を交代させるのは異例であるが、戦争が長引いていることや国防省内の汚職への不満も背景にはあるのかもしれない。しかし、ショイグは安全保障会議書記に就任するし、ワレリー・ゲラシモフ参謀総長(68歳)は留任する。 また、セルゲイ・ラブロフ外相、アレクサンドル・ボルトニコフFSB(連邦保安庁)長官(72歳)、セルゲイ・ナルイシキンSVR(対外情報庁)長官(69歳)、ウラジーミル・コロコリツェフ内相(63歳)も留任する。 したがって、今現在の軍事・治安体制に大きな変化はない。