地中熱でエコ農業 福島県郡山市のリンクエフと日大工学部考案 地下水で冷暖房、農業用水 ヒートポンプ活用
リンクエフは日大工学部大学院を修了した田村慎太朗さん(43)が2023(令和5)年に起業した。田村さんは「地中熱の導入促進に向け付加価値を高め、地球温暖化対策に貢献していきたい」と語る。 ■「新たな価値の見える化」重要 識者 産業技術総合研究所再生可能エネルギー研究センター(FREA、郡山市)の冨樫聡(とみがし・あきら)地中熱チーム研究チーム長は「地中熱の普及に向けては経済性などを評価できる『新たな価値の見える化』が重要」と指摘している。市場の需要に応じ、小規模な事業や研究に実証環境を提供するなどして普及支援に取り組む考えだ。 地中熱チームは昨年4~12月に、42の企業や自治体と意見交換を行った。光熱費高騰に伴い省エネに取り組みたいといった声が45%、脱炭素化に向けた事業化の相談が43%あり、「地中熱利用のニーズの高まりを感じている」と受け止める。 冨樫さんは県再生可能エネルギー関連産業推進研究会の熱利用分科会長を務める。地中熱をはじめ、太陽熱などの未利用熱の普及を拡大するため、研究機関や企業、自治体などによる相互連携の必要性を訴えている。
※ヒートポンプ 熱(ヒート)を低温から高温にポンプのように移動させる技術。熱の移動元である熱源には、空気や地下水、河川水などがある。用途は給湯や暖房、冷房、冷凍など。