視力や認知機能低下より怖い交通事故になる要因 交通事故率を下げる簡単トレーニングを紹介
ではなぜ高齢者で有効視野が狭くなってしまうのか? それは加齢以外での有効視野が狭くなる場面を見れば理由がわかります。 ■緊張すると視野が狭くなる 有効視野は緊張するような場面、はたまた込み入った状況で狭くなります。例えば、初めて運転する道路や標識がわかりにくい道だと緊張してしまい有効視野が狭くなります。どこで曲がればいいのかと探りながら運転しているような状況も有効視野が狭くなるわけです。 さらには交差点で右折をするというような込み入った状況も有効視野を狭くします。信号の移り変わりを見なければいけない。対向車が来ているかを見る。赤信号になったからといって歩行者が必ずいなくなったとは限らずそれを確認して右折をする。
これだけ込み入った状況であれば多くの場所に意識を集中しなければいけません。結果として有効視野が狭くなり、ふいに直進でスピードを出してきたバイクと衝突するというようなことが起こります。 高齢になれば緊張して、自分のコントロールが難しくなります。脳の処理能力の低下があるために結果として有効視野が狭くなります。ではどうすればいいのかというと有効視野を広げるような訓練をすることで視野が広くなり、脳の処理能力が上がるのです。実際に、有効視野を広げることで交通事故率を下げるだけではなく、認知症の予防となりうるという研究データもあります(※2)。
では実際にやってみていただければと思います。 ■実際に「脳知覚トレーニング」をやってみよう やり方を説明します。まずは次のクイズを読んでください。 Q1 赤の円上で1つだけ違うマークは、A~Dのどのゾーンにある? Q2 赤の円上で1つだけ違うマークは、何のマーク? Q3 緑の円上で1つだけ違うマークは、A~Dのどのゾーンにある? 次に目と写真の距離を20cmに近づけます。 画像中央にある「LOOK!」を両目で見て、そこから視線を動かさないで周りのマークを見ます。そしてクイズに答えます。つい視線をずらしたくなるかもしれませんが、それでも大丈夫です。その後でもう一度、真ん中を見て周りのマークを確認してみてください。答えがわかるかどうかではなくて、判別しようとすることが大切です。
余裕がある人は、各円の違うマークがあるゾーンをパッと素早く判別してみましょう。スピードを意識すると、より効果的です(体調に異変を感じたら、直ちに中断してください)。 クイズの答え Q1:D、Q2:ぶどう、Q3:A (※1) NeuroRehabilitation. 2014;35(4):771-8 (※2) Alzheimers Dement 2017603-611
平松 類 :眼科医/医学博士