プロコーチがPGAショーをレポート! 現地で感じた、コーチやメーカーも育まれるアメリカのゴルフ文化
コーチ専用のゴルフスウィング解析アプリ「SPORTSBOX AI」を駆使する北野達郎コーチ。2024年1月23~26日の日程で開催された世界最大級のゴルフ見本市「PGAショー」を視察したというので、その様子をレポートしてもらった。
世界中のコーチやメーカーがホールに集い、プレゼンを行うオープンフォーラム
みんなのゴルフダイジェストをご覧の皆様、こんにちは。SPORTSBOX AI・3Dスタッフコーチの北野 達郎です。前回に引き続きアメリカ・フロリダ州オーランドで先週開催されましたPGAショーの模様をレポートします。 今回は、DEMO DAYの夜に行われたオープンフォーラムについてレポートします。オープンフォーラムは、世界の第一線で活躍するコーチやトラックマンなどの計測器のメーカーが密室のホールに集まって、ゴルフにおける最新の研究や画期的な発明を共有するイベントです。 このイベントでは、例えば計測器のメーカーとそのアンバサダーを務めるコーチが、そのテクノロジーをどのように活用して、ゴルファーのパフォーマンスを向上させたのかをプレゼンします。発表者の持ち時間は約15~30分で、今回は9種類のプレゼンが行われました。 SPORTSBOX AIからは最高科学責任者のフィル・チーザムと、USゴルフダイジェスト・ベストティーチャー・ランキング7位のマーチン・チャックの2人がプレゼンを行いました。 プレゼンのテーマは「動き(Motion)と力(Force)の関係」で、力が動きを生み出し、動きが力を反映するというものです。今回そのプレゼンで発表された「スピードプロファイル」は、スウィング中の身体の運動量と速さを独自の基準で点数化して、パフォーマンスの向上を測るシステムですが、その中で「飛距離が出る選手ほど、骨盤の上下への移動の速度が速く、運動量が多い」という発表をしていました。いわゆる地面反力を使う動きですが、この動きを起こすタイミングと速さに関して詳細にプレゼンを行っていました。 そして印象的だったのは、ライバル社のFENRISのプレゼンがあった後、お互いのプレゼンについて「ココは良いけど、ココは課題だね」と、メーカースタッフやコーチがそれぞれ情報を共有しあい、お互いに拍手を送る姿。まるでゴルフのトーナメントで選手同士がお互いに健闘を誓い合い、エールを送り、戦いが終わればお互い握手やハグをする。そんな良きライバル関係にも似た光景がありました。 それぞれの企業やコーチがオンリーワンを目指して互いに切磋琢磨して、オープンフォーラムというフェアな場所で研究や発明を披露して、今より少しでも良い製品やコーチングを世に送り出すべくクオリティを磨いていく。世界の企業やコーチ達がゴルフ業界をリードする秘訣が垣間見えた瞬間でした。