「どう考えても勝ち馬には乗れない」麻生太郎氏に高まる“引退説”重要ポスト歴任も遠ざかる“最後の夢”
8月27日、自民党の派閥で唯一残っている麻生派(54人)の研修会が横浜市のホテルで開催された。 【写真あり】麻生派にいた「トンデモ女性議員」 だが、自民党総裁選(9月27日投開票)をめぐり、麻生派はすでに分裂の様相を見せている。政治担当記者はこう話す。 「小林鷹之元経済安保相の出馬会見には、麻生派から3人の衆院議員が同席しました。甘利明元幹事長も小林氏を支援しています。 また、山東昭子参院議員、今井絵理子参院議員は旧岸田派の上川陽子外相を推すようですし、小泉進次郎元環境相を支援する議員もいるようです。 研修会で麻生太郎会長は『同じ釜の飯を食って育った同志として、しっかりと応援したい』と、河野太郎デジタル相を支援すると話しました。ただし、『一致結束、箱弁当みたいに縛り上げるつもりはまったくない』とも話しました」 かつて100人を超す最大派閥だった竹下派などで、週に一度、議員や秘書らが同じ弁当を食べて、連帯意識を高めたことから、永田町では「一致結束、箱弁当」と言われ、団結力の強さの表現として使われてきた。 「『一致結束、箱弁当』というわけにはいかない、ということは、つまり河野氏への支援の一本化を断念したということになります。総裁選をめぐっては、麻生氏は勝ち馬探しに苦労しているなどと書かれましたが、どう考えても勝ち馬には乗れない状況です。 麻生さんが勝ち馬に乗れるケースは、派閥は別ですが実質的に子分である茂木敏充幹事長、河野氏、あるいは旧岸田派の林芳正官房長官、上川氏あたりまでなのです」(同前) 勝ち馬に乗れない状況とは、どういうことなのか。 「総裁選は1回めの投票で誰も過半数を獲得できない場合、上位2人による決選投票になります。現状、上位2人に残ると見られる有力候補は進次郎氏、石破茂元幹事長、小林氏の3人です。 進次郎氏は、キングメーカーの座を争う菅義偉前首相が全面的にバックアップしており、麻生氏が入り込む余地はないし、決選投票においても派閥を結束させて進次郎氏に入れるわけにもいきません。 石破氏は麻生首相時代に退陣を迫ったという因縁が尾を引いていて、関係が最悪です。また、小林氏も福田達夫元総会長、大野敬太郎衆院議員ら4期生以下の安倍派若手が中心に支援していて、麻生氏が“潜り込む”場所がない状態です」(自民党関係者) 2008年から2009年に総理、安倍晋三政権と菅義偉政権で副総理を務め、現在の岸田政権で自民党副総裁と要職を歴任してきた麻生氏。 政界随一の実力者とされてきたが、総裁候補が乱立する中、八方塞りの状況にあるようだ。 自民党ベテラン秘書が言う。 「麻生さんは、次の総選挙で引退するかもしれないね。最近、党内でもそうした声が聞かれるようになってきました。 麻生派の議員は『決選投票で派閥が結束すれば、主導権は握れる可能性はまだある』などと言っているようですが、今のところ、有力とされるのは進次郎、石破さん、小林さんの3人なので、結束しても難しい。また、1回めの投票でバラバラになった議員らが決選投票だからといって、まとまるとは到底思えません。 なので、麻生さんは自分の目が黒いうちに、長男の将豊氏に議席を引き継ぐほうが賢明と判断する可能性が高い。いよいよ引退が現実味を帯びてきた。 麻生さんに近い人も『総裁選次第だが、おそらく誰にも相談せずにいきなり引退する、と言い出す可能性もある』と言っていましたね」 いよいよ土壇場に追い込まれた形の麻生氏だが、ここまで引退せずに議員を続けてきたのには訳があるという。それは麻生氏の祖父に当たる吉田茂元首相の存在だ。 前出の秘書が言う。 「麻生さんは『爺さん(吉田元首相)と同じ歳まで(衆院議員を)やる』と言っていたようです。吉田元首相は85歳1か月で引退。麻生さんがその歳になるのは、2025年10月。おそらく年内に解散総選挙になるので、引退すれば、同じ歳までという望みは叶わないことになりますね」 総裁選まで1カ月。国民の意思よりも、政治家たちの“思惑”ばかりで動いている気が――。