韓国尹大統領が必死の「捕らぬ狸の言い得」作戦 〝浦項沖に大海底油田の可能性〟 記者団招きキムチチゲ・パーティー開催も支持率低下
【深層韓国】 「捕らぬ狸の皮算用」と日本では言う。独り、ほくそ笑むのだ。しかし、韓国では、みんなに聞かせて「捕らぬ狸の言い得」となるようだ。 【防衛省が公開した写真】韓国軍によるレーダー照射の映像 日本の天皇は、何らの政治的実権も持っていない。それなのに、戦後の天皇はある時期から年に1度は必ず記者会見に臨まれ、記者の質問に誠実にお答えになってきた。 韓国の大統領は、政治の実権者だ。それなのに、現在の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は1年4カ月間にわたり、1度も記者会見をしなかった。驚くべきことだ。 だが、国会議員選挙で与党が連敗となるや、突如として記者会見を始めた。大統領室の秘書官人事まで自ら発表し、担当記者団を招いてキムチチゲ・パーティーを催し…。 そして6月3日には、普通なら閣僚か官僚に任すべき政策ブリーフィングのマイクまで自ら握り、「わが迎日(ヨンイル)湾の沖(浦項=ポハン=の沖38~100キロ)に、最大140億バレルに達する石油と天然ガスが埋蔵されている可能性が非常に高い」と発表した。 「天然ガスは韓国が最大29年、石油は最大4年以上使える量だと判断される」 「深海鉱区では今世紀最大の石油開発事業と評価されている南米ガイアナ鉱区の110億バレル以上の探査資源量だ」 同大統領の支持率は、国会議員選挙後も続落している。キムチチゲ・パーティーでは自ら卵焼きをつくり、記者団に振る舞う涙ぐましい姿まで見せたが、5月末には支持率が21%まで落ちた(韓国ギャラップの調査)。どの世論調査でも「国民との意思疎通の不足」が不支持の理由に上がっている。 明るい話題を、大統領自らの口から述べることで状況を転換したいとの思いが、大統領直々の政策ブリーフィングに結び付いたのだろう。 しかし、この発表の根拠は「電波による探査データの解析結果」であり、あくまでも「可能性あり」にすぎない。 これから埋蔵量推定のため探査掘削をして、商用化の価値があるかどうかを判定し…「ある」と判定されても、実際に採取するまでには10年以上の歳月を要する。 その頃、化石燃料に対する世界の評価がどうなっているかはさておき、残り任期あと3年の大統領にとっては、これこそ「言い得」のテーマだ。
韓国で「国産石油」の話題が沸騰すれば、九州西海域の日韓共同開発水域に対する韓国側の干渉が弱まると期待する向きもあるが、彼らの欲望思考は「それはそれ、これはこれ」だから、無理な話だ。 (ジャーナリスト 室谷克実)