「アベノミクス」をわかりやすく説明 (全体編)- 給料は増える?
早くも今年の流行語大賞候補と言われる「アベノミクス」。住宅ローンや給料など私たちの生活に影響を与えそうですが、その中身はよく知らないという人も多いようです。参院選の争点の1つでもあるアベノミクスについて、基礎知識をざっくりまとめました。 Q アベノミクスって何? A 首相の「アベ」と、英語の「エコノミクス」(経済学)をくっつけた造語で、安倍政権の経済政策をまるごと指します。 Q アベノミクスの中身は? A 大きく分けて金融緩和、公共事業、成長戦略の3つです。これをアベノミクスの「3本の矢」と呼びます。1つ目の金融緩和は、日本銀行がじゃんじゃんお札を刷って世の中にお金が回りやすくすること。2つ目の公共事業は、税金を使って橋や道路や建物を作ること(ちなみに公共事業は「財政政策」の一種です)。3つ目の成長戦略は、企業をしばる規制を緩くしたり、外国との貿易をもっと自由にしたりして日本経済を成長させることです。 Q なぜアベノミクスで大騒ぎしているの? A 1つ目の金融緩和はそもそも日銀の仕事なのに、首相が政策の目玉として打ち出したからです。実は過去にも「3本の矢」のような政策はありましたが、アベノミクスでは特に金融緩和を「大胆」にやろうとしています。
Q 大胆な金融緩和って何? A 日銀がインフレ目標を作りました。インフレとは物の値段が全体的に上がること。目標は、2年以内に、前の年と比べて物価を2%上げることです。簡単にいえば、100円の商品が102円になるまで、日銀が世の中にお金をじゃぶじゃぶ流し続けるのです。 Q なぜ金融緩和でインフレになる? A 世の中に出回るお金が増えれば金利が下がるので、住宅ローンや工場を建てるお金が借りやすくなります。また、金利が下がると円が売られて円安になります。円安は輸出を増やすので、製品を海外に売る企業がもうかり、株価が上がります。そうして経済が活発になると同時に、インフレ目標で物の値段が上がると予想する人が増え、値上げ前に買い物する人が増えるので景気がよくなる、という話です。そう簡単にはいかないと言う人もいます。 Q アベノミクスで給料は増えるの? A もし増えるとしても、企業のもうけが順調に増えるようになってからでしょう。最悪の場合、物の値段が上がる一方で給料は上がらず、かえって生活が苦しくなるかもしれません。