「名前が不謹慎?」『ドラクエ』世界進出の前に立ちはだかる課題…“性別廃止”の次は“モンスターの名前”を変更!
「ドラクエの世界と現実をごっちゃにすんじゃねぇよ」
性別廃止や女性キャラの衣装チェンジにはじまり、モンスターの名前の変更。配慮によって、作品が変わっていくことについて、SNS上では複雑な声があがっている。 〈ドラクエの世界と現実をごっちゃにすんじゃねぇよ〉 〈日本語版で変える必要なくないか? 海外版だけ変えればいいのに〉 〈フィクションの世界にまでこんなこと配慮するなんて自分は全く賛同できないな〉 〈多くを無視した一部への配慮で表現できない社会は間違いでしかない〉 ゲーム業界の“表現の規制”の問題は、これまでもずっと議論がされ続けている。比較的規制が緩いとされている日本でも、時折、海外に比べて過度な規制をすることがある。 ゲームライターの渡邉卓也氏は、国によって規制の基準は大きく異なっており、「日本では昔からグロテスクな表現に対する規制は厳しかった」と話す。 「例えば、2015年に発売されたホラーゲーム『Until Dawn -惨劇の山荘-』の国内版では、人体欠損のあるシーンを暗転するという規制が入り、結果、ストーリーの理解にも支障を与えることに。この暗転シーンは、ユーザーから“暗転ドーン”などと揶揄されました。 さらに同じく2015年発売の『ダイイングライト』というホラーアクションゲームでは、ゾンビの血の色がなぜか緑になるという意味不明な配慮がありました(後に修正)。どのような表現が許容されるかは国によって異なり、配慮した結果としてデザインが変わるどころか、ゲーム全体にまで影響を与えかねないことが起こっています」 それでもこの先、ゲームのグローバル化が進む限り、表現の規制は避けられないテーマだという。特に、ドラクエシリーズは、国内人気に比べると海外での展開はそれほど大きくなく、知名度もあまり高くはない。
配慮しながらも魅力を損なわないデザインに
今回のリメイクによって改めて海外にアピールするうえでは、世界的な基準に基づいた変更が必要になってくるわけだ。 「しかし、ただ性的な要素を減らしただけでは国内ファンから不満が出てくるのは当然です。ゆえに、デザインを考慮しつつ配慮する必要があります。よい例が、世界的に大人気の対戦アクションゲーム『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』です。 この作品には、『ゼノブレイド2』の「ヒカリ」というキャラクターが出ていますが、こちらは元のデザインよりも露出度が落ちているものの、ただ露出を抑えるのではなく、それに応じて衣装デザインをかわいらしく変更したためか、ユーザーからの不満は少ないように見えます。このように、ただ配慮するだけでなく、おもしろさ・魅力を損なわないように変更を加えることがベターだと考えられます」 いまや、フィクションのキャラまでもTPOをわきまえるようになっている。多様性とTPOのバランスをとることが、世界に進出するための大きなカギになっていきそうだ。 取材・文/集英社オンライン編集部
集英社オンライン編集部